忙しい研究者のための効率的な論文の読み方~目的意識をもって、仮説と検証を繰り返しながら論文を読もう!~

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以前に”論文の読み方・記録の仕方”という記事を見つけて読みました。特に、論文の構成・どの順番で章を読むと分かりやすいか・読んだ論文を記録しておくことの重要性、について分かりやすく書かれています。まだ論文を見たことのない学生にとって、とてもためになる記事です。

ここでは それをふまえて、わたしがこれまで実践してきた、効率性を意識した論文の読み方について、説明します。わたしは論文を”書く”人でもありますので、論文はどのように書かれているか、という視点もあります。

(一部の学生を含む) 研究者は、論文を読むこと以外にたくさんやることがあります。実験したり、シミュレーションしたり、結果を考察したり、他の人とディスカッションしたり、論文を書いたり、などです。そのため、少ない時間でたくさんの論文を読まなければなりません。効率的に論文を読み、早く論文が読み終わるとうれしいわけです。

論文を効率的に読むために大事な2つのポイントは、

  • 論文を読む目的に応じて読み飛ばす
  • 論文の内容について仮説をたて、それを検証する形で読み進める (仮説→検証の繰り返し)

です。

論文を読む目的は何か?

論文の読み方に入る前に、論文を読む上で一番重要なことは、その論文を読む目的を明確にすることです。目的を達成すれば、それ以上その論文を読む必要はありません。目的によっては、論文の中の文字すべてを読む必要はないこともあります。

たとえば、

  • 講演の中で面白そうだった技術・手法について、自分の研究にも活かせそうなので、その詳細を知りたい
  • 自分の研究と似た研究があったので、それらの違いを知りたい
  • 論文で使われているデータセットを使いたいので、その詳細を知りたい

といった目的があると思います。このような目的でしたら、論文のすべてを読む必要はなく、読み飛ばしできるところもあると考えます。この、論文を読む目的に応じた適切な読み飛ばしが、効率的に論文を読む最初のポイントです。

ただ、特に論文を査読(*)するときなど、論文に書かれている文字すべてを精読しなければならない場合もあります。論文を読む目的に応じて、同じ論文でも読み方は変わるわけです。

(*) 査読とは、投稿された論文が論文誌に掲載される価値のある論文かどうか、研究者がチェックすることです。いろいろな論文誌の編集者から査読してほしいとのお願いが (よく) ありまして、OKし続けると査読しなければならない論文が常に2, 3報たまっていることになります。。。

論文の中で最低限押さえておくこと

読み飛ばしできるとはいっても、目的にかかわらず、論文にどんなことが書かれているかは少なくとも把握しておかなければなりません。それを短時間でおこなうため、Title(題目) → Abstract(要旨) → Figures, Tables(図・表) → Conclusions(結論) だけ、この順に読みます。

Title (題目)

まず title (題目) です。論文の内容が一文で書かれています。もちろんわからない単語があれば調べます。ここで大事なことは、titleを読んでから論文にどんなことが書かれているか、推測する (想像する) ことです。つまり、論文で書かれている内容について仮説を立てるわけです。このあとの、Abstract(要旨) → Figures, Tables(図・表) → Conclusions(結論)は、その仮説を検証する作業、ともいえます。

この、論文で書かれている内容について仮説を立て、その仮説を検証する形で論文を読み進める、というのは、論文を効率的に読み進めるためのもう一つのポイントです。論文を読む、ということは、仮説と検証とを繰り返す、と同じことなのです。

Abstract(要旨)

次に、abstract (要旨) をしっかりと読みましょう。abstract には、論文全体を要約した内容が書かれています。論文を書く人の立場からすると、論文の中で一番大事なこと、一番いいたいことをabstractに書きたいのです。そのため、abstractを読めば論文の全体像がわかるわけです。わからない単語があれば調べ、文章として理解できるまで読み込みましょう。理解するコツとしては、論文において何を問題意識としているか、をはっきりさせることです。これがわかれば、その問題を解決するためにどんな手法・技術を提案・開発したか、仮説を立てられます。あとは、検証 → 仮説 → 検証 → ・・・ を繰り返します。

Figures, Tables(図・表)

次に図表です。図は、書く人の立場からすると、論文の核となる大事なことや、重要な結果を分かりやすく伝えるために、作ります。表は、数値データ・結果をまとめたものです。そのため、図表を理解することで、手っ取り早く論文の重要な内容を把握できます。

ただ、忘れては行けないのが、図表のcaption (説明文) です。図の下、表の上に書かれた、図や表を説明する短い文章です。図表は、基本的に図や表とその説明文を読むだけで、理解できるように作らないといけません。論文を書くときのルールですね。説明文といっても短い文章です。図表と合わせて読むことで、理解を深めましょう。図表の他に、反応経路や手順などが書かれたschemeがあるときは、これも合わせて読みます。

Conclusions(結論)

最後に、conclusions (結論) です。Conclusionsの章には、もちろんその論文で最終的にいいたいことが書かれているわけですが、”いきなりそこを読んでも本文を読んでいないのだから理解できないのでは?”と考える人もいるかもしれません。ちゃんと理解できる理由が2つあります。1つは、これまでTitle(題目) → Abstract(要旨) → Figures, Tables(図・表)の流れで、仮説と検証とを繰り返しながら、ある程度論文の内容を理解しているということ。もう一つは、conclusionsの章では、いきなり結論を書くわけではなく、最初に必要最低限、論文の内容をまとめていることです。論文を書く立場としても、簡単に論文の内容を追ってまとめたほうが、結論を書きやすいのです。

仮説 → 検証 の繰り返し

以上のように、Title(題目) → Abstract(要旨) → Figures, Tables(図・表) → Conclusions(結論) の順に、仮説と検証とを繰り返して読むことで、どんな内容の論文かを理解します。このあと、論文を読む目的に応じて、必要なところだけ読むわけですが、そのときも論文中に書かれていることの仮説を立て、それを検証する形で読み進めます。

読みながらメモをする

わたしの場合、論文を読みながら大事なところをエクセルにコピペして、コメントを入れるってことをしています。必要なときはそこから検索すればOKなので、このくらいのメモで問題ないかと思います。

以上です。

質問・コメントがありましたら、twitter・facebook・メールなどを通して教えていただけるとうれしいです。

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