プロセスシステム工学第143委員会 第213回委員会 平成29年度第4回研究会 で講演してきました

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2017年12月8日に、プロセスシステム工学第143委員会 第213回委員会 平成29年度第4回研究会 『若手研究者による PSE 最先端研究』 にて、講演させていただきました。ご推薦いただいた野田先生や委員長の山下先生をはじめとして関係者の皆さまどうもありがとうございます。ちなみに、PSEは Process Systems Engineering の略です。

プロセスシステム工学第143委員会 とは、こちらのウェブサイトから引用すると、

プロセスシステム工学第143委員会は,化学プロセスや化学プラントの計画・設計・運転・管理に係るプロセスシステム工学分野の研究者・技術者が,産学の壁を越えて互いに協力しながら学術研究を進めていくことを目的に,昭和51年6月に発足しました.

発足以来40年,本委員会はプロセスシステム工学分野における産学連携体制の充実・発展に努めるとともに,我が国における同分野の学術研究を先導し,国際的にもその推進に大きく貢献してきました.

となっています。わたしの生まれる前からある委員会なのです。よく、”PSE143(ぴーえすいーいちよんさん)” とか単に “PSE” とか “143” とか略されて呼ばれています。

学生のころから、そして教員になっても、いろいろな研究会やソフトセンサー・ダイナミックシミュレーション・プロセス制御のワークショップに参加しておりました。そしてこのたび、PSEの “若手研究者” の仲間入りを果たし、講演させていただいたわけです。

わたし以外は、そうそうたる顔ぶれでした。いずれこちらのウェブサイトに掲載されると思いますが、以下の研究者の方々です。

  • 名古屋大学 川尻喜章先生 「データサイエンス手法を活用した化学プロセス開発」
  • 東京大学/東京工業大学/物質・材料研究機構 菊池康紀先生 「エネルギーシステムの計画・設計におけるシミュレーションの役割」
  • 産業技術総合研究所 松本秀行先生 「複雑な不均一系触媒反応プロセスシステム強化のためのモデリング・シミュレーション」

そんな中、わたしは 「化学工学におけるデータの扱い~基礎研究から実装まで~」 というタイトルで、こんな要旨

講演者は2017年4月に明治大学理工学部応用化学科においてデータ化学工学研究室を発足した。良くいえばフットワークが軽い、悪くいえば飽きっぽいことから、これまで化学工学に関連するデータを扱いながらも色々な研究分野に手を出し、多面的な視点で研究を進めてきた。本講演では、化合物のもつ物性・活性と化学構造との間の相関解析・新規な化学構造の生成・化学プロセスの最適化設計・化学プラントにおける推定制御など、これまでの研究内容を総括し、今後の研究の方向性として今のところ興味のある内容について紹介する。

を提出したにもかかわらず、トリを務めさせていただきました。懐の広い委員会であることがわかります。

しかも当日は、こちらに書いたこと

これからも研究者は論文を論文誌に投稿するのか ~今後の研究者に求められること~
大前提 まず大前提として、これからも少なくとも10年は論文を書いて論文誌に掲載されることが、研究者として評価されたり、博士号取得の要件だっ...

をはさみながら講演しました。その部分のスライドがこちらです。

普通の講演ではこんな話はありません。にもかかわらず、出席者の方々がとてもやさしく、論文誌に関係する質問・コメントもいただきました。それらを以下にまとめます。

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  • 質問:研究成果を公開するとき、どのような方針になりそうですか?たとえば論文を公開するときどのようなフォーマットになりますか?
  • 回答:プラットフォームなどのシステムを作る専門家ではないので、具体的な話はわかりませんが、一つの方向は、できるだけ多くの情報を生データの形でオープンにすることだと思います。実験結果であれば、成功した結果だけでなく。失敗した結果も公開します。また、たとえば会議やディスカッションのときの動画をそのままオープンにしたり、それを音声入力させて文字起こしたものを公開したり、といった感じです。テキスト情報であれば、人工知能でテキストマイニングすることで、有用な情報を抽出できると思います。

(感想):もちろん公開する相手に見やすい形にしたり、形式を整えたりすることも重要です。ただ、それにも時間がかかってしまうわけです。研究に時間を割きたいですよね。重要なのは、研究成果を公表することですので、人工知能などの新しいツールを活用して、効率的に公開するのがよいと考えています。

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  • コメント:研究者のアウトプットだけでなく、研究成果を享受する人のアウトカムズを考える事が大事です。また、公開するデータのクオリティーについて考えていくとよいです。
  • 回答:アウトカムズとデータのクオリティについて考えてまいります。コメントありがとうございました。

(感想):おっしゃる通り、プラットフォームを設計するときはアウトプットだけでなく、どう受け取るかのアウトカムズを考えなければいけません。データのクオリティーについても、どのようにクオリティーを評価するか、クオリティーを担保するか、をしっかり設計しないと、プラットフォームとして機能しないと思います。

余談ですが、このコメントをいただいた先生の質疑応答の仕方はいつも参考にさせていただいています。今回のようにディスカッションの視野を広げてくれるためです。今回はコメントをいただけて嬉しかったです。

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  • コメント:最近、査読プロセスなしの論文誌があり、研究成果・データの公開として、面白い方向性になるでしょう。
  • 回答:査読なし論文誌は、研究成果を公表する媒体として、そして研究者間のコミュニケーションの場として、優れていると思います。しかし、査読なし論文誌では、研究者が直接的なメリットを受けられません。研究者が成果を投稿しても、お金が落ちるのは論文誌を発行している企業・人です。

今後のシステムとしては、研究成果を公表する媒体となること、研究者間のコミュニケーションの場であること、そして、研究者が直接的なメリットを受けられること、の3つが大事と考えています。

(感想):わたしの考えと、今のシステムとの違いを明確にできてよかったです。

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  • コメント:目標の物性を達成する確率について、他の研究例はどのようなものがありますか?
  • 回答:ベイズ最適化の枠組みの一つです。ベイズ最適化の研究の中で、確率だけでなく期待値などもあります。

(感想):ベイズ最適の周りも面白いので、今後も取り組んでいきたいです。

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以上です。

PSE143の研究会は主に金曜日にあり、大学の会議と重なることが多いので、最近はなかなか参加できていませんでしたが、会議とかぶらないことを祈りつつこれからも参加していきたいです。

あと、今回の研究会の最初に 2018 AIChE Annual Meeting の案内がありました。来年は Pittsburgh だそうです。ピッツバーグかぁ・・。

質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。

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