ストーリーのある話・発表・プレゼンとは?

あの人のプレゼンには話にストーリーがある、みたいにいう人いますよね。特に基調講演や招待講演で、発表やプレゼンがうまいとき、わかりやすいときに、そういわれることが多いでしょうか。でも、ストーリーのあるプレゼンって具体的にどういうものでしょうか?

ここで明確にしておきましょう。それは、

聞き手が知っていること(一般的に知られていること)から、話し手の伝えたいことまで、途切れることなく話すプレゼン

です。下図のようなイメージです。

 

聞き手の知っていること、つまり一般的に知られていることからスタートします。そして話の内容(スライド)を組み立てながら話し手の伝えたいこと、つまり研究成果まで聞き手をつれて行きます。聞き手としては、話の流れに乗るように、ストレスなく相手の言いたいことを理解できます。なので、ストーリーのあるプレゼンは、話がうまいとか分かりやすいとか言われるわけです。

一般的な研究発表

ちなみに、一般的な研究発表は下図のようになります。

 

伝えたいこと、つまり研究成果の、外堀から埋めるような話し方です。理論的な背景だったり、過去の研究成果だったり、実験結果だったり、研究成果をサポートする情報を順番にスライドに示して話していくわけです。聞き手は、枠の中(同じ専門領域)に入っていることが想定されています。ただ聞き手は中にいれば、抜け落ちなく研究成果が証明されるのを見届けられるわけです。

どちらの発表のやり方のがいいの?

ここでは、ストーリーのある発表・プレゼンの方が一般的な発表・プレゼンより優れている、というわけではありません。それぞれ、メリット・デメリットがありますので、時と場合によって使い分けるのがよいです。

ストーリーのあるプレゼン方法は、一般的に知られていることが伝えたいことから離れていても、うまく話(スライド)をつなぎ合わせることで、伝えたいことまで到達できるのがメリットです。なので、いろいろな背景の聞き手がいる、招待講演・基調講演などで使われるわけです。ただ、伝えたいことの周りを理論武装しているわけではありませんので、ツッコミどころはたくさんあります。そういう意味では、何か新しい手法・技術・発見を証明しようとするプレゼンには向きません。

一方、一般的な発表・プレゼンは、抜けがないように理論武装して研究成果を発表しますので、新規な研究成果の発表に向いています。その代わり、理論武装のところにスライド・時間を使わなければなりませんので、聞き手の知っていることが離れているときには向いていません。研究のフィールドが同じ人たちの中での発表・プレゼンに使うとよいでしょう。

実際、わたしもストーリーのあるプレゼンと一般的な研究発表とを使い分けています。特に講義では、ストーリーのあるプレゼンです。学生それぞれが知っている内容は異なりますので、伝えたいことから一般的に知られていることまでの距離が離れているためです。例えば、無次元数に関する講義では、ほとんどの学生が知っているであろう”偏差値”の話からはじめて、無次元化の話に移り、、、という具合です。

研究発表も、同じ研究領域の方々の中で何か新しい研究成果を発表するときは、一般的な研究発表の形を使いますし、詳細講演などでいろいろな研究領域の聞き手がいるときにはストーリーのある話し方を使います。

以上です。

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