明治大学応用化学科では、基本的に 4 年生から研究室に配属されます。3 年生までは定期試験やレポートなどで、いろいろな問題の正解を求めるトレーニングをしてきますが、研究室配属後の研究はそうではありません。正解がわかっていない、というよりは正解があるかどうかもわからない (3 年生までのような “正解” はたぶんない) 問題・課題があります。いろいろな制約条件がある中で、仮説を立てたり、立てた仮説を検証したりしながら、妥当な解をめざします。
金子研での研究は、工学的な研究です。理学と工学の違いは、こちらに書いたとおりでして
理学は 「分かる」 ための学問、工学は 「決める」 ための学問です。理工学部の応用化学科では、理学的な講義・実験と工学的な講義・実験が混じっています。理学と工学の違いを考えながら講義を受けたり実験をすると理解しやすくなるかもしれません。
というわけです。金子研内にはいろいろな研究はありますが、基本的な研究目的は、何かを 「決める」 ことになります。分子の化学構造を決めたり、実験条件・製造条件を決めたり、プロセスを決めたり、、、といった感じです。
研究を通して、ある課題を解決して何かを決められたからといって、また別の課題を解決できるわけではありません。研究することと、研究をしている人に課題解決力がつくこととは別なわけです。
金子研では、学生が課題解決することではなく、学生に課題解決力がつくことを目指しています。人的資本をつくってもらうことを目的にしています。
(わたしが具体的な方針を示して) 研究成果をあげることよりも、学生が研究目的を明確にして方針を立て、想像力をふくらましながら色々と仮設を立て、一つ一つ検証して、といったプロセスを大事にしています。もちろん、課題解決の仕方は一つではなく、いくつもあると思いますので、他の人からみたら遠回りのように見える道でも、とりあえず進んでみたらよいと思います (“正解” は誰にもわかりません)。このような、自ら課題解決に向けて試行錯誤する経験によって、課題解決力がつくと思います。
毎週、学生が研究の進捗報告をするときには、上のようなことを考えて、いろいろ質問したりアドバイスしたりします。
ちなみに、修士の学生には課題設定力を身につけてもらえればと考えています。課題解決力の方は問題ありませんので、企業との共同研究も安心して一緒にできます。
以上です。
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