自分の希少性を上げて時給を上げよう!

いつも学生には希少価値の高い人、レアな人になるといいよ、という話をしています。

なお考え方やデータは以下の本を参考にしています。

  • 藤原和博, 藤原和博の必ず食える1%の人になる方法, 東洋経済新報社, 2013
  • 藤原和博, 藤原先生、これからの働き方について教えてください。100万人に1人の存在になる21世紀の働き方, ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2015
藤原和博の必ず食える1%の人になる方法 | 東洋経済STORE
原稿を読んだ何人もの編集者が「面白い!」と絶賛した本が、ついに発売です!
藤原先生これからの働き方について教えてください
21世紀になって、はや15年。日本社会は「成長社会」から「成熟社会」へ、大きな変化を遂げました。私たちの働き方も、それに合わせてアップデートさせる必要があります。20世紀の「成長社会」の特徴は、ひとことで言えば「みんな一緒」という感覚が強か...

 

 

年収500万円の人がいたとします。1日8時間働いたとすると、週40時間で1年52週としたとき、1年で 2080 時間働くことになりますので、この人の時給は、およそ 2400 円です。

年収を増やすことを考えます。労働時間に着目すると、例えば1日2倍の 16 時間を働くことで、単純に 時給×労働時間 で考えれば、年収は2倍になります。ただ、もちろん年収は2倍の 1000 万円になりますが、労働時間的に非現実的ですし、これを続けていたら体を壊してしまうでしょう。労働時間を増やすことによる年収増加は、2倍が限度のようです。

ここで時給に着目します。時給1000円で働いているアルバイトやパートの方がいる一方で、力のある弁護士は、時給10万円 (100000円) の人もいるようです。時給1000円と時給10万円の間には、100 倍もの差があり、労働時間を増やすことで上げられる 2倍と比べると、桁違いの差があります。

この桁違いの差は、何に由来するでしょうか。これは、仕事の大変さでも、頑張り具合でも、環境の過酷さでもありません。結論を言えば、その人の希少性です。誰でもできる仕事、例えば 100 万人がいたときに 80 万人もの人ができる仕事は、希少性が低い人でもできる仕事であり、時給は低いです。一方で 100万人の中で1人しかできない仕事は、その人、すなわち希少性の高い人しかできませんので、その分、その人の時給は上がります。トレーディングカードにおいて、たくさんある一般的なカードよりも、レアカードの方が高く取引されるのと同じです。

希少性を高めることで、自分の時給が 100 倍以上、上がる可能性があるといえます。

では、どのように希少性を高めていくのでしょうか。

希少性として、100万人いたときに1人しかいない例に、オリンピックの金メダリストが挙げられます。ご存知の通り、オリンピックで金メダルを取るには、才能・努力・運が完璧に揃っていないといけません。スポーツをやっているすべての人が、頑張れば取れるものではないわけです。一般的にも、いろいろな仕事がある中で、それぞれの分野で “金メダル” を取ろうとしても、たった一握りの天才しか取れません。

ただ、一握りの天才ではない、私のような一般的な人にも、100 万人に 1 人につながる道はあります。

まず、ある一つの分野 A で、100万人に1人 [1/1000000] とは言わないまでも、100人に1人 [1/100] くらいの希少性の高い人 (専門家) を目指します。(もちろん正規分布に従うわけではありませんが) 例えば偏差値でいえば 73 くらいのイメージです。もちろん大変ではありますが、年月をかけて頑張れば、なんとかなるとは思います。ちなみに 100万分の1は偏差値でいうと 97 くらいです。見たこともない数字と比べれば、73 くらいならなんとかなりそうです。

分野 A での 1/100 を達成したら、次は分野を変え、別の分野 B で同様に 100人に1人ぐらいの希少性の高い人 (専門家) を目指します。もちろん頑張る必要はありますが、分野 B でも 1/100 を達成すれば、A の専門家 かつ B の専門家という分野で、1/100 を掛け算して、1/100 × 1/100 = 1/10000、すなわち1万人に1人の希少性となります。

お察しのよい方は、もうお気づきかもしれませんが、続いて、さらにもう一つの分野 C で100分の1になることで、A かつ B かつ C の専門家という分野で、1/100 × 1/100 × 1/100 = 1/1000000、すなわち 100 万人に1人の希少性に到達します。

このように、もちろん一つ一つの分野で 1/100 になることも難しいのですが、それらを3つ掛け合わせることで、100万分の1、偏差値で言うと 97という見たこともない希少性・レア度である 100万分の1 に到達します。

このようにして、自分の希少性を高めていき、時給を上げることができます。希少性の高い自分しか生み出せない価値を、換金したものが収入になります。

注意点としては、分野 A で 専門家になったり、分野 A かつ B で専門家になったりした後、すべての時間をそれらの分野で稼ぐ、すなわち価値を生み出しそれを換金することに時間を使わない、ということです。もちろん、時給 × 時間が収入なので時間を大きくしたほうが、一時的な収入は大きくなるのですが、一部の時間を、次の新しい分野における勉強時間やトレーニングの時間に割かなければ、次の分野の専門家にはなれません。勤務後に勉強したり、週末のセミナーに参加したり、週末起業をしたりして、新たな分野へ挑戦します。

自身の希少性をもって、そのすべての時間を換金に充てるだけでなく、一部を残しておいて次につなげることが重要です。

サラリーマンをしていると、残業時間などで働いた時間に比例して給料が増えるため、自分の時給に意識が向かなくなってしまうかもしれません。自身の希少性を意識して、時給を上げる工夫をするのはいかがでしょうか。

なお、研究者に特化した話は以下になります。

研究者が資本(資産)を形成するためのフレームワーク
研究者が研究成果を出し続けるためには、”資本” が必要です。”資産” といってもよいです。資本 (資産) をつくるための考え方 (フレームワーク) についてお話します。参考にしたのは以下の本です。橘玲, 幸福の「資本」論 あなたの未来を決め...

 

以上です。

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