明治大学の応用化学科では、3年生の12月ころに学生たちが配属になる研究室を選ぶことになります。
研究室選択のときに確認したほうがよいこととして、学生にとっての研究室の5つの意義・価値をまとめました。
- 興味のある分野の研究ができる
- 研究室にある研究成果・技術・ノウハウ・設備といった蓄積を利用できる
- 研究室の教員から密に教育を受けられる
- 研究室に関係する人たちとのつながりができる
- 研究成果を出すまでのプロセス(過程)を経験・体験できる
順に説明します。
1. 興味のある分野の研究ができる
大学の研究室ごとに研究分野は異なります。自分の興味のある分野の研究をしたいですよね。そのような分野の研究室に行けば、それに関する研究ができるわけです。
2. 研究室にある研究成果・技術・ノウハウ・設備といった蓄積を利用できる
大きな研究になればなるほど、0からすべて1人で研究を進めることは難しくなってきます。アイザック・ニュートンの言葉
私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。
にあるように、過去の研究者たちの研究成果があってからこそ、最先端の研究を進めることができます。対象の研究室にいろいろな技術・ノウハウがたまっていると、学生はそれらを利用して、さらに先の研究ができるわけです。
もちろん研究設備も大事です。しっかりとした設備が整っていれば効率的に研究を進められます。
3. 研究室の教員から密に教育を受けられる
学生が研究室に配属になると、多くの時間を研究室で過ごすことになります。その研究室の教員とも、一緒に研究したり、ゼミなどで議論したり、飲み会に行ったり、多くの時間を共有することになります。そのような時間の中で、教員から教育を受けられるわけです。教育を受けたい教員がよいですね。
4. 研究室に関係する人たちとのつながりができる
この人たちというのは、今の研究室のメンバーだけでなく、研究室のOB・OG、将来の後輩、教員の知人・共同研究者・その研究室のメンバー、研究室として参加する学会・研究発表会で知り合う人、などです。もちろん気の合う人が多いほうが楽しいですし、将来の仕事の内容によってはこのような人たちと一緒に仕事をすることもあるかもしれません。
5. 研究成果を出すまでのプロセス(過程)を経験・体験できる
見落としがちですが、これも大事なことの1つです。研究室での研究成果は、論文・特許・製品などの形で公表されますので、研究室の中の人たちだけでなく、世の中の人たちが利用できます。ただ、世の中の人たちは、どのように研究成果が生み出されたのか、そのプロセス(過程)は見えません。見えるのは研究室の中の人たちだけです。研究成果が生み出されたプロセスも、研究室にいる人たちにしか経験・体験できません。
実際、研究成果が出るまでには、
- 過去にどのような研究成果があるのか調べたり、
- 問題点を分析して研究課題に落とし込んだり、
- アイデアを考えたり研究室メンバーとブレインストーミングしたり、
- 研究の進捗について研究室メンバーと議論したり、
- ちゃんと期待通りのものができたか分析して検証したり、
といったプロセスを経ています。研究室のメンバーはこのプロセスを経験・体験できるわけです。
このプロセスこそ大事なのです。新たな研究分野に進むときも、別の仕事を始めるときも、基本的にこのプロセスを応用できます。研究室を選ぶときには、その研究室でどのようなプロセスで研究成果が生み出されたのか、確認するとよいと思います。
以上の5つの項目について、それぞれの研究室ではどうなっているか調べて、総合的に研究室を決めるのがよいと思います。ただ学生の話を聞くかぎり、実際はコアタイムや就職活動のしやすさなども、研究室を選ぶときに重要のようですね。
以上です。
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