たとえば、ランチにラーメン屋さんにいくことを考えましょう。おいしくて、安いラーメンが食べられるところを探しますよね。いろいろと調べた結果、下の図のようになりました。一つ一つの ○ がラーメンです。
おいしくて安いラーメンを探しているのに、おいしいラーメンほど、値段が高い傾向があります。そして、安いラーメンほどおいしくない、といった感じです。このように、ある基準での評価と、別の基準での評価が両立しないとき、それらの基準はトレードオフの関係にある、といいます。あちらを立てればこちらが立たず、といった感じです。
トレードオフの関係は、いろいろなところにあります。
- 賃貸で家を探すとき、駅まで歩いてかかる時間の短さと家賃の安さの関係
- 印刷するとき、印刷する速さと印刷のキレイさの関係
- アトラクションに乗るとき、人気度と行列の短さの関係
- テトリスで、得点の高さとプレイ時間の長さの関係 (積み上げて長い棒を待つと高得点を狙えるが、ゲームオーバーになる確率も高くなってしまう)
とかです。トレードオフの関係にあるなかで、適したものを選択することが求められます。
このようなとき、パレート最適解を考えるとよいです。パレート最適解とは、先ほどのラーメンでいうところの、下の青丸のようなラーメンです。
パレート最適解とは具体的にどのような解のことでしょうか。逆に、パレート最適解でないものを考えると分かりやすいです。それは、トレードオフの関係にある基準をすべて改善できる解が他にあるもの、です。そのようなものがないとき、パレート最適解といいます。
ラーメンは、パレート最適解から探せばよいわけです。
もちろん、ラーメンを選ぶにしても、おいしさは一つの基準だけで測れませんし、お店の雰囲気を重要視する人もいると思います。基準は2つより多くあるわけです。他のケースにおいても、たくさん基準があることが多いため単純ではありませんが、基本的にはパレート最適解のみを候補とすることで、一つ選ぶときの見通しがよくなります。
基準をどれだけ把握できるか、も重要です。どんなことにも、メリットもあれば、デメリットもあるものです。コピペのときもそうでした。
一見、メリットだけしか見えないことにも、デメリットがあるということです。基準を見落としていると、トレードオフの関係を見出すことも、パレート最適解を探すこともできません。
だから何もするな!といっているわけではありません。メリットしかないぞ、といって何かするときにも、いったん冷静になってデメリットを考えて、トレードオフのよりパレート最適解がないか確認したり、デメリットがあることを自覚してから実行したりしましょう、ということです。
研究のチャンスはパレート最適解の向こう側にあり!
研究として、たとえば何か新しい材料を開発するとき、材料の物性や特性がトレードオフの関係にあるなかで作らなければならないことが多いです。
- 医薬品において、薬の効き具合と毒性など
- 電球や蛍光灯のカバーにおいて、光の透過性と拡散性など
- いろいろな高分子材料において、強度と柔軟性・重量・厚みなど
とかです。
このとき、パレート最適解を超える材料が求められており、そのような材料を開発することが、研究目的の一つになるわけです。
なので、最初に大切なことは、
トレードオフの関係およびパレート最適解を把握すること!
なわけです。たとえば何か新しい材料を開発する研究をするときには、論文・文献などでこれまでの材料を調査して、トレードオフの関係およびパレート最適解を把握しておきましょう!
以上です。
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