一般的に、特に理系の大学生は、大学1年生から3年生まで講義主体の大学生活であり、4年生になって研究室配属になると思います。研究室配属になったら、これまでの講義主体の生活から変わり (人によってはいくつか講義を取らないといけない人もいると思いますが)、研究を始めることになります。もちろん3年生までに講義だけでなく実験や実習などもしていると思いますが、4年生からはじめる研究は、それらの講義・実験・実習とはまったく異なります。
ここでは研究と講義・実験・実習の違いについて説明します。万が一、研究が講義・実験・実習と同じものと思い込んでしまい、講義・実験・実習を受けるのと同じように研究室生活を送ってしまうと、まったく的外れとなり大きな失敗をしてしまいますので注意してください。
目的の違い
講義では、既に存在する知識を身につけることが目的になります。実験や実習では、知識に加えて技術・技能を身につけることが目的です。
一方で研究では、もちろん研究力を身につけるという大きな目的もありますが、研究の目的としては研究内容ごとに異なります。ただ基本的には、まだ知られていないメカニズムを解明することだったり、また存在しない物質を作ることだったりと、まだ知られていないことやまだ開発されていないものに対する目的になります。講義と異なり、何か既にあるものを身につけることが研究の目的ではありませんので注意してください。
評価のされ方の違い
講義では、課題や試験にもとづいて担当教員により評価されます。例えば定期試験で高い得点をとれば、評価は上がって成績はよくなります。ただ、定期試験では満点以上の成績は取れませんし、成績にも上限があります。ある程度頑張れば (試験勉強すれば)、少なくとも成績を上げるためにはそれ以上頑張らなくてよいことになります。
一方で研究では、もちろん指導教員が主に評価することになりますが、他の人も研究に対する評価をします。たとえば学会発表するときはその発表を聴いている人たち、論文発表をするときにはその論文を読む人たちも評価をします。また、これらの評価については、満点というものはありません。研究成果がよければよいほど、評価は上限なしに上がります。
講義における成績の上限のようなものを自分で決めてしまい、それを目指して研究する人は、上限なくただただ研究成果を求めて研究する人と意識の上でまったく異なることになり、結果的に成果に大きな差が出ますので注意しましょう。研究成果が出れば出るだけ、評価する人の評価は高くなります。
ちなみに、研究においては自分も評価者の一人です。自分が満足いかない限り研究を続けられる人は強いと思います。
取り組み方の違い
講義では、例えば 100 分など講義時間が固定されていて、その時間だけ頑張れば OK です。もちろん、他に予習・復習や講義中に出された課題を解く時間はあります、その時間も合わせた時間だけ頑張ればよいことになります。
一方で研究では、ある時間だけやればよい、何時間行えば合格点をもらえる、というわけではありません。上の評価の違いにも関連しますが、研究には満点がありません。少ししか時間をかけなければ、少ししか研究成果は出ませんし、他の人からの評価はそれだけの評価になってしまいます。そもそも学会発表とか 論文発表とかをすることすら厳しいでしょう。
研究に取り組んだ時間だけ研究成果は上がりますし、そのぶん他者からの評価は高くなります。
研究でも、講義と同じようにコアタイムだけ何かやれば OK、という考え方でいたら注意しましょう。
研究と講義の違いについて細かいことを挙げればキリがありませんが、大きく分けると上の3つの点において、研究と講義はまったく異なります。もちろん、講義・実験・実習で身につけた知識・技術・技術は存分に発揮しつつも、意識を切り替えて研究にのぞむとよいでしょう。
以上です。
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