データ化学工学研究室 (金子研) の方針として、学生の成長を一番に考えています。
配属になる学生に最初に伝えていることは、金子研で目指していることは、
学生が研究成果をあげること、ではなく、学生が研究成果をあげ続ける力をつけること
ということです。日本語的には微妙な違いですが、本質的には重要な違いです。
ただ研究成果をあげることでしたら (もちろん研究成果をあげること自体も非常に難しいですが)、たとえばラッキーパンチで研究成果が出るようなことも、なくはないです。ただ、それは学生にとってどれだけ意味があるでしょうか。一つの研究成果だけで一生安泰、となるのも難しいです。
研究に限らず、継続して成果を上げ続ける必要があります。そのためには、成果を上げ続ける力を身につけるということが大事です。ラッキーパンチで成果をあげたとしても、成果を上げる力がついていないと、毎回ラッキーパンチに頼らないといけない人になってしまいます。
そのため、一見 遠回りと思われるようなことも行っているわけです。
もちろん研究に限らず、たとえば課題解決ではなく課題解決力を身につけてもらうのは、こちらに書いた通りです。
他のことでも、目的を、学生が何かをすることではなく、学生がそれをする力を身につけることとして、教育をしています。たとえば、学生が要旨の作文をするときや、論文を作成するときも、学生が要旨や論文を完成させることをゴールにするのではなく、学生が要旨や論文を完成させる力を身につけることをゴールにしています。学生がパワーポイントのスライドを作るときも、分かりやすく素敵なスライドができたことをゴールにするのではなく、そのようなスライドを作ることのできる力を身につけることをゴールにしています。
学生が身につけた力の度合いを指標にするわけですね。なので、学生が力を身につけたかどうかを検証することも大事にしています。いくら素晴らしい要旨・論文・スライドが完成したとしても、次も素晴らしい要旨・論文・スライドを作れる力が身についていなかったら、意味がないわけです。
このような研究室の方針のもとで、1 年間もしくは 3 年間過ごし、それぞれ成長した学生たちが、卒業の時期をむかえています。卒業式は中止になってしまいましたが、快く門出を見送りたいと思います。
以上です。
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