金子研の論文が Industrial & Engineering Chemistry Research に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
です。これは修士卒の湯山春介さんが修士のときに取り組んだ研究の成果であり、気体分離膜材料とそれらを用いた分離プロセスを機械学習により同時に設計した論文です。
(追記) 表紙絵に選出されました!
Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage (CCUS) は CO2 排出削減を目標とした技術であり、世界中で注目されています。CCUS における分離回収において、既存の分離プロセスよりもエネルギー効率が高い有望な代替技術として気体膜分離が注目されています。膜分離プロセスの分離性能に、分離膜材料と分離プロセス構造が互いに影響を及ぼしあいながら関係していますが、これまでの研究ではこれらを考慮していませんでした。そこで本研究では、膜材料と分離プロセス構造を同時に設計することを目的としました。本研究ではまず、機械学習を用いて新規の膜材料の気体透過率を予測し、透過性能が高い材料の設計を行いました。続いて、分離プロセスにおいて膜材料とプロセス構造を同時に最適化することを試みました。プロセス設計では、機械学習でスーパーストラクチャーアプローチを扱うための手法を開発し、ベイズ最適化による効率的な構造探索を行いました。
膜材料設計の結果、1000万を超える新規材料候補から、有望な分離性能をもつ材料を探索することができました。また、プロセス最適化の結果、気体の分離要件を満たすプロセス構造と新規膜材料の組み合わせを見つけることができました。これらの成果は、マテリアルズインフォマティクスとプロセスインフォマティクスを統合した提案手法によって得られたといえます。本研究により、実験データ、仮想の分子構造の材料候補データ、プロセスシミュレーション、機械学習の回帰分析およびベイズ最適化を用いて、膜材料の設計と分離プロセスの設計を同時に最適化することが可能と確認しました。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。
以上です。
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