金子研の研究成果の論文が Case Studies in Chemical and Environmental Engineering に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
Design of the Ethylbenzene Production Process Using Machine Learning
です。これは修士一年の石川愛理さんが学部生のときに取り組んだ研究の成果です。
エチルベンゼンはスチレンモノマーの中間原料であり、その市場は年々拡大しています。ゼオライト触媒を用いた製造プロセスによって生産されていますが、蒸留工程におけるエネルギー負荷が高く、燃料消費量の削減が課題となっています。本研究では、単位生産量あたり必要となる燃料消費量(燃料エネルギー原単位)が小さいエチルベンゼン製造プロセスの設計を目的としました。
まずプロセス構造を最適化し、次に設計変数を最適化します。プロセス構造の最適化には、スーパーストラクチャを用います。スーパーストラクチャでは、検討すべきすべての構造を表現でき、その中から最も燃料エネルギー原単位が小さくなる構造を探索できます。設計変数の最適化手法には、ベイズ最適化に基づいた適応的実験計画法を用います。ベイズ最適化では、目標を達成する確率を算出でき、この確率が最も高くなった設計変数を次の候補として選択することで、効率的に設計変数を最適化できます。
提案手法を用いることで、複数の反応条件を満たしつつ、燃料エネルギー原単位が小さいプロセスの設計を達成しました。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
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