ゼオライトの吸着性能を予測するモデルの開発と新規ゼオライトの設計をしました![金子研論文]

金子研の研究成果の論文が Industrial & Engineering Chemistry Research に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

Development of a Model for Predicting the Adsorption Performance of Zeolites and Designing New Zeolites

 

です。これは2024年度修士卒の安藤瑠海さんが学部生のときに取り組んだ研究の成果です。

ゼオライトは、ケイ酸またはアルミニウムが酸素を介して結合したものが集合して、ミクロサイズの穴が多数あいている多孔質な結晶性アルミノケイ酸塩であり、吸着剤や触媒としてさまざまな用途に使用されています。物理吸着法の材料においては高い二酸化炭素吸着量を有し、疎水性であるゼオライトの合成開発が進められています。ゼオライトの特性には Si/Al比などの組成、担持させる陽イオン、ゼオライトの細孔の大きさなどが大きく関わっています。例えば Si/Al比は酸素を介して結合しているケイ酸とアルミニウムの数によって決まり、Si/Al 比が低いと親水性、高い二酸化炭素吸着量、低耐久性という特性を持ち、Si/Al 比が高いと疎水性、低い二酸化炭素吸着量、高耐久性という特性を持ちます。また、担持させる陽イオンによっても吸着量が変化します。

新規のゼオライト設計では Si/Al 比や担持させる陽イオンの組み合わせなどが多岐にわたることから膨大な組み合わせの設計候補があり、試行錯誤でこれらを設計する必要があるため、目的のゼオライトを開発することは困難です。分子シミュレーションを用いてゼオライトの吸着量の予測をする研究も進められていますが、実験と比較して分子シミュレーションの計算速度は速いものの、ゼオライトでよく見られるような多くの元素を含む系(P、Na、K、その他のヘテロ原子など)では、パラメータのフィッティングが難しいことや複雑な化学環境、例えば Si:Al が変化するような複雑な化学環境を記述する場合には、高い精度を得ることは困難です。

本研究では、機械学習によりゼオライトの構造情報から二酸化炭素の吸着等温式のパラメータを予測するモデルの構築およびモデルを用いて高い二酸化炭素吸着量を有する新規ゼオライト候補の設計を目的としました。機械学習モデルを用いることで膨大なゼオライト候補から吸着量が高いゼオライトをスクリーニングできます。

論文から得たゼオライトの実験データを用いて、ゼオライトの構造情報や担持させる陽イオン、Si/Al比を説明変数 x、吸着等温式のパラメータを目的変数 y として複数の機械学習法を用いてモデルを構築し、最も評価指標の高いモデルを用いて、吸着量が不明なゼオライトの吸着パラメータを予測し、高い二酸化炭素吸着量を有する新規ゼオライト候補の設計を行います。設計結果は、モデル構築に用いた既存のゼオライトの二酸化炭素吸着量と比較して検証を行いました。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

以上です。

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