まずは、たとえ話です。
東京にいる人が、沖縄に行きたいとき、できることとしては、沖縄の方向に歩きだすことです。でも、徒歩で沖縄に行くことは、不可能です (できるとしても非現実的な時間がかかります)。沖縄に行きたいときにはじめにすることは、羽田空港に向かうことです。そして羽田から飛行機に乗ることが、目的達成のためにやるべきことです。もちろん、電車代や航空券代がないときは、働いてお金を稼ぐことが、目的達成のためにやるべきことです。いきなり沖縄の方向に歩きだすより、働き始めるほうが、ぱっと見た感じは沖縄の方角に向かっていませんが、やるべきことなのは明らかです。
沖縄の例では、何を当たり前のことを言ってるんだ!って感じかもしれませんが、研究や開発において、沖縄の方向に歩くことと同じようなことはしていないと、自信をもって言えるでしょうか。
例えば、
- 分解能の高い装置でしか見えない現象に対して、分解能の低い装置を使い続ける
- 自動的にデータを収集・(前)処理するシステムを作らず、すべて手作業で行う
- 推定モデルの予測精度の目標が非常に高いにもかかわらず、今あるサンプル・特徴量だけで、既存の機械学習手法を変えたりアンサンブル学習におけるモデルの数を増やしたりしかしない
- 過去の論文をひたすら読み続けるだけ
といったことはありませんでしょうか。
今できることを、ひたすらにやったからといって、目的達成に近づくわけではありません。今はできなくても、目標達成のためにやるべきことは、できるようになる必要があります。それにより、目標達成に向かっています。
研究成果とやること (努力) の関係については、こちらの記事をご覧ください。
今できることをやることで、それが目的達成に近づいていなくても、達成”感” は得られます。もちろん、達成感を上手く利用することで、人の成長につなげられることはあり、それが目的達成に向かうこともあります。しかし、達成感だけで満足してしまうことに関しては、注意したほうがよいです。
一つ注意点として、言いたいことは、綿密に計画を立ててからその通りに実行しましょう、ということではありません。詳細な計画を立てるまでやらないのはもったいないです。また、詳細に計画を立てても、その通りに進むことのほうがマレです。ざっくりとした計画というか、大局観をもってやるとよいと思います。
もちろん、途中で方向転換することもあると思います。羽田から飛行機が飛べないときに、成田に向かう感じです。ただ、やり始めないと方向転換が必要なこともわかりません。目標達成のためにやるべきことを、試行錯誤するわけです。
以上です。
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