材料の結晶構造を考慮して熱電変換材料を設計しました![金子研論文]

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金子研の論文が Analytical Science Advances に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

Design of thermoelectric materials with high electrical conductivity, high Seebeck coefficient, and low thermal conductivity

です。これは学部卒の吉浜弘樹さんが四年生のときに取り組んだ研究の成果です。

熱電変換材料の設計をした論文です。対象とした物性は、熱伝導率と電気伝導率とゼーベック係数です。さらに、それらの物性値から計算される熱電変換材料の評価指標 ZT も考慮しています。材料の特徴量としては、基本的に材料における各元素の組成比と使用するときの温度ですが、これでは材料の結晶構造が考慮されていません。

そこで物性予測のときに材料の結晶構造を考慮することで、各物性の予測性能が向上するか検討しました。結晶構造の考慮の仕方としては X線回折 (XRD) スペクトルです。無機材料データベース (AtomWork) に掲載されている、科学技術文献から抽出された XRD スペクトルの計算値を用います。

ただ、このスペクトルデータは、いくつかの 2θ において強度が掲載されている形式 (Figure 1 参照) ですので、そのまま特徴量とすることはできません。そこで、スペクトルデータを数値化して特徴量とする手法を色々と検討しました。2θを、ある幅ごとに区切り、その幅におけるピーク (複数のピークがあるときはその各種統計量) を特徴量にしたり、ピークごとに正規分布を割り当て、それらの重ね合わせで全体を表現したりです。

さらに、ZT は熱伝導率と電気伝導率とゼーベック係数から計算されますが、ZT を直接予測する場合と、三つの物性をそれぞれ予測してから、予測値から ZT を計算して求める場合とで比較検討を行いました。

以上のような検討の結果、ZT を予測するモデルを構築できます。このモデルを用いて、AtomWork における、まだ ZT が不明な材料の中から、 ZT が良好な値となる材料を探索したところ、Figure 6 に示すように、既存の材料の性能を超える材料が見つかりました。

また、今回は計算していませんが、ここでは XRD スペクトルとして第一原理計算等で得られる計算値を用いています。そのため、それを計算した後に各元素の組成比や使用する温度を、提案するモデルに入力することで、それを合成したときの熱伝導率、電気伝導率、ゼーベック係数、そして ZT の値を予測でき、熱電変換材料の開発の効率化が期待できます。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。

以上です。

質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。

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