金子研の論文が Journal of Advanced Manufacturing and Processing に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
です。これは現在 (2021年4月18日) M2 の岩間 稜さんが四年生のときに取り組んだ研究の成果です。
エチレンオキシド (Ethylene Oxide, EO) はエチレンの酸化反応で生成され、エチレングリコールやエタノールアミンなどに変換されます。洗剤や繊維などの出発原料であり、重要な石油化学製品です。今回はプロセスシミュレーションとベイズ最適化を組み合わせて、EO 製造プロセスの設計をしました。
目的変数 y が 8 個、説明変数 (プロセス条件) x が 24 個です。設計の流れは以下のとおりです。
- プロセス条件 x の仮想的なサンプルを大量に生成する
- 生成したサンプルに基づいて、最初にプロセスシミュレーションをする x のサンプルを D 最適基準に基づいて選択する
- 選択されたプロセス条件でプロセスシミュレーションをして、計算結果 y を確認する
- すべてのプロセスシミュレーションの結果のデータセットを用いて、ガウス過程回帰によりモデル y=f(x) を構築する
- まだプロセスシミュレーションをしていない x の仮想的なサンプルから、モデルに基づいて次にプロセスシミュレーションをするサンプルを選択する
- プロセスシミュレーションにより y を計算し、それが目標を満たしていれば終了し、満たしていなければ に戻る
上の流れを繰り返すことで、139 回もしくは 83 回のプロセスシミュレーションで、7 つの y すべてが目標範囲に入るプロセス条件を自動的に探索できました。プロセスシミュレーションごとに、y が目標範囲に近づく様子も確認できます。
なお今回は y が 8 つもありますので、ベイズ最適化における獲得関数の計算を少し工夫しています。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。
以上です。
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