共同作業はキャッチボール~早めにボールを投げよう!~

研究したり、論文を書いたり、研究室での多くの活動は共同作業で進められます。各自の役割や分担を決めて、役割や分担に基づいてそれぞれ作業をします。時には進捗状況を共有したり、これまでの反省や今後の方針について話し合ったりします。例えば研究をするときに、各自の実験の分担を決めて、それぞれ実験したり、実験した内容を共有したりします。また論文を執筆するときに、分担を決めてそれぞれ執筆したり、執筆した内容をお互いに確認したりします。

共同作業をするとき、自分の役割・分担を把握して作業をすることだけでなく、自分の実施している状況を相手が把握していないことを認識することも重要です。例えば研究において二人で実験を分担しているとき、自分が実験内容や実験手順の中に分からないことがあって悩んでいて、実験が途中からまったく進んでいなかったとしても、相手にその連絡がない限りは、相手は実験が進んでいないことがわかりません。問題なく順調に実験が進んでいるものと思い、実験結果が出てくるのをずっと待っているでしょう。どこかのタイミングで進捗、すなわち実験が進んでいないことを報告されるまでは、悩んでいることすらわかりません。悩み始めてから報告されるまでの時間は、共同作業は何も進まず、無駄になってしまいます。わからないことがあること、悩んでいることを早め共有した方がよいですね。

また論文執筆において、自分が論文を書いていて、書き方がわからなかったり方針に悩んでいたりして、執筆が途中からまったく進まなかったとしても、相手にその連絡がない限りは、相手は執筆が進んでいないことを知ることができません。問題なく順調に論文執筆が進んでいるものと思い、執筆した原稿が出てくるのをずっと待っているでしょう。どこかのタイミングで進捗、すなわち執筆が進んでいないことを報告されるまでは、悩んでいることすらわかりません。悩み始めてから報告されるまでの時間は、共同作業は何も進まず、無駄になってしまいます。わからないことがあること、悩んでいることを早め共有した方がよいですね。

研究室の学生には、キャッチボールの例えとしてお話し、早めにボールをこっちに投げてね、と伝えています。自分に作業内容がある状態が、ボールをもっていることに対応します。実験が進んでいない状況や論文執筆が進まない状況というのは、ただただボールをもっているだけといえます。自分がボールをもったままでは、相手はその状況がまったくわかりません。何より、ボールがどこかにあるだけでは、共同作業はまったく進みません。無駄な時間です。早めにボールを相手に投げる、すなわち、どんなことが分からないのか、何で困っていて悩んでいるのか、相手に相談するとよいですし、そうしないと共同作業がまったく前に進みません。実験でわからないところがあって進まないときには、相手がその解決方法を知っているかもしれませんし、代わりに実験してくれるかもしれません。論文執筆でわからないところがあるときには、相手がそのやり方を知っているかもしれませんし、相手が代わりに執筆してくれるかもしれません。

自分にボールがある限り、相手はその状況を知ることはできませんし、相手が何かしてくれることもありませんし、全体の共同作業は止まったままです。自分がボールをもっているときは、早めに相手に投げるとよいでしょう。

ボールをもっている人は、予定していた作業を終えてから、相手にボールを投げたいと考えるでしょう。しかし、共同作業で重要なことは、複数の人たちで共同作業を前に進めることです。一人が自分の作業を進められない時間は、共同作業をしている全員にとっての、無駄な時間になってしまいます。早めに誰かにボールを投げた方がよいですね。

精神衛生上も、あまりたくさんのボールをもっていないで、誰かにボールを投げたほうがよいといえます。ボールをもっていると、そのボールのことが気になってしまうためです。ボールをもっていないほうがスッキリしますね。実際わたしも、大学の中や大学の外の仕事において、締切にかかわらず、なるべく早めに相手にボールを投げるようにしています。また逆に、早めにボールを投げてくれる人は一緒に仕事を進めやすいです。早めに投げあってキャッチボールすることで、スムースに仕事が進むと考えています。

今、研究室内に 20 人以上の学生がいまして、スムースにキャッチボールすることが研究室を運営するカギになっています。週に一度は学生の進捗を確認するようにしており、学生がボールを投げやすい環境を作ることも重要と考えています。

 

以上です。

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