2017年10月20日の高分子計算機科学研究会にお招きいただき、講演して参りました。今回の研究会の主題は、材料設計に向けたインフォマティックス技術とその応用です。研究会における講演の中のキーワードを並べると、
- 高分子材料
- データベース
- データ科学
- 機械学習
- ベイズ推論
- ディープラーニング
- 化学構造の生成
- 物性推算
- マテリアルズインフォマティクス
- 分子動力学シミュレーション
- 高分子シミュレーション
- プロセスシミュレーション
です。
今回わたしは、”データベースおよびインフォマティクス技術を活用した分子設計・材料設計・プロセス設計”というタイトルでお話をしました。
そこでの質疑応答は以下の通りです。
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- 質問1) 物性推定モデルのなかのパラメータはどのように決めているか?
- 回答1) 既存の化合物データに基づいて、実際の物性値と推定された物性値との誤差が小さくなるように決めています。
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- 質問2) 化学構造生成において、物性・活性を考える上で重要な部分構造はちゃんと含まれるのか?(取りこぼしはないのか?)
- 回答2) モデルの適用範囲の観点から、物性(活性)推定モデルを構築するための化合物の中に、同じような部分構造があれば、含まれる可能性は高いです。ただ、その化合物の中にないと、可能性は低くなります。もちろん、理論的なシミュレーションも合わせて活用することで、狙いの部分構造を含む可能性を上げることができます。
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- 質問3) いくつのデータがあれば、モデルを作ったりモデルを使って設計したりできるか?
- 回答3) [こちらの内容を説明しました。
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- 質問4) ソフトセンサーについて、モデルの適用範囲の外のデータを推定するときはどのように対応しているか?
- 回答4) ソフトセンサーで推定するとき、推定値だけでなく、モデルの適用範囲として推定値のばらつきも一緒に出力しています。つまり、推定値にエラーバーがついているということです。モデルの適用範囲の外になるにつれて、エラーバーが大きくなります。推定値だけでなくエラーバーの大きさも考慮して推定結果を確認します。
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今回、はじめて高分子学会の研究会に参加しました。わたしはあまり高分子を扱ったことがないため、高分子の専門家の中で恐縮しながらの発表でしたが、金子研の研究内容について興味を持っていただいた方もいらしてよかったです。そして他の講演を聞くと、分かりやすそうな高分子のシミュレータやデータベースも整っており、高分子の研究を始めるのに敷居は下がっているのかな、と感じました。
高分子に興味のある学生が配属になったら対応したいと考えています。
以上です。
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