優秀ポスター賞をとるために~ポスター作成の3つのコツと、ポスター発表の3つの工夫~

学会発表の形式として、大きく分けて口頭発表ポスター発表があります。口頭発表では、発表者がこちらの流れにそって研究発表を行います。

学会での研究発表 (口頭) の一般的な流れ
学生のころから学会において研究発表をする人もいらっしゃると思います。今回は、学会発表での話の流れについてまとめました。人や場面によって多少変わることもありますが、一般的な流れはこちらです。 自己紹介 発表の概要 背景 問題点 目的 方針 手...

今回はポスター発表についてです。

多くの学会では、ポスター発表における優秀な発表に対して、ポスター賞が設けられています。わたしもポスター賞を受賞したことがありますし、逆にいろいろな学会でポスター賞の審査員をやったこともあります。ポスター賞をとるためには、研究背景の充実度・研究内容の新規性・成果の重要性だけでなく、ポスターの ”きれいさ” やポスター発表の “うまさ” も大切な項目になります。

ポスター賞のある学会でポスター発表をする予定の方は、ぜひこの記事を読んで、ポスター賞を Get していただけたらうれしいです。ポスター賞は、就職活動のときの受賞の欄にも書けますので、取れるものはぜひ取っておきましょう。

 

ポスターの作り方

ポスターを作るときのコツは3つ、

  • 文字を少なく、絵・図を多く
  • 文字を大きく
  • 色に統一感を出す

です。

 

文字を少なく、絵・図を多く

文字が多いポスターは、とても見にくく、印象が悪いです。ポスターは読むものではなく、見るもの、と考えて、言葉ではなく絵と図で説明するようにしましょう。

 

文字を大きく

文字の量を減らしても、0にすることはできません。多少なり文字を含むポスターになるわけですが、その文字が小さくて読みにくいと、発表を聴きに来た人がポスターを見るのをあきらめてしまう可能性が高くなります。ポスターから1 mくらい離れたところから見ても、読める文字サイズにしましょう。わたしの場合、小さくても 40 くらいにしています。

 

色に統一感を出す

色に統一感のあるポスターのほうが、きれいに見えます。青系とか赤系とか、テーマを決めてポスターを作成するとよいでしょう。

 

なお、ポスターの内容としては、こちらの口頭発表の流れにある内容と基本的には同じです。

学会での研究発表 (口頭) の一般的な流れ
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ただ、せっかく A0 や A1 くらいの広いところで自由に描けるので、口頭発表のスライドを切り貼りしたようなものでなく、A0用紙 全体を広く使ったポスターにしましょう。実際、そのようなポスターの方がポスター賞に多く選ばれます。

 

ポスター発表のやり方

口頭発表は、発表後に質疑応答の時間がありますが、たかだか 5 分くらいであり、基本的には講演者から聞き手に一方通行で発表が行われます。たとえば 15 分とか 20 分とか、一方的に だーっと発表しておしまいです。発表内容を多くの聞き手に届けることができる、というメリットはありますが、聞き手は発表の途中にわからないことがあっても、質疑応答の時間にならないとそれを質問することができない、というデメリットもあります。難しい発表だと、途中からついていけないこともあるわけです。

一方 ポスター発表は、聞き手と会話形式で発表・ディスカッションすることができます。聞き手のバックグラウンド(背景)・興味にあわせて発表・ディスカッションできるわけです。一人ひとりに丁寧に対応できるわけです。ただその代わりに、たくさんの人に発表を届けようとしたとき、時間がかかります。口頭発表では、15 分や 20 分で終わりますが、ポスター発表では 1 時間とか 2 時間とかポスターの前にいないといけません。

以上がポスター発表の特徴です。これをふまえて、ポスター発表するときには、以下の3つのことを押さえておきましょう。

  • 3 分以内で概要を説明する練習をしておく
  • 聞き手に質問しながら発表を進める
  • ミニポスターを用意する

 

3分以内で概要を説明する練習をしておく

まず、3分以内でざっとポスターの内容を説明する準備をしておきましょう。聞き手としては、たくさんのポスターを見て回りたいと考えています。一つのポスターに、それほど時間を使えないわけです。3分くらいでまとめてもらえると聞き手としてうれしいのです。1分くらいで説明してください、とお願いする人もいるかもしれません。短い時間で発表する準備をしておきましょう。最初の説明を短くまとめると、ポスター賞の審査員の心象もよくなります。

1分もしくは3分くらいで説明すると、もし聞き手がその発表に興味があれば、その後に質問してきます (思っていたのと違うな、と感じた聞き手は、ありがとうございました、とか言って去っていきます)。3分で説明している最中に質問してくる人もいるかもしれません。その質問に答える形で、より深い研究内容について説明すればよいのです。ちなみに、ちゃんと質問に答えられたか、についてもポスター賞を取るためには大事になります。質問の内容を理解できなかったときは、恥ずかしがらずに、内容がわかるまで聞き返しましょう

あと、学会によってはポスター用のショートプレゼンがある場合もあります。一つのポスター発表ごとに3分ずつくらい、口頭発表するわけです。聞き手は、そのショートプレゼンを聞いて、詳しい内容を聞きに行くポスターを決めます。

 

聞き手に質問しながら発表を進める

ショートプレゼンがあるときは特に、聞き手に 「どんな内容を聞きたいですか?」 と逆に質問してみましょう。聞き手も同じような研究をしているとき、背景や手法のことはすでに知っているときがあります。また聞き手が、ポスター発表の内容すべてに興味があるわけではないときもあります。聞き手の知りたい情報のみを説明することで、より早く聞き手に満足していただいて発表の時間短縮になり効率的に発表できます。こうすることで、より多くの人にポスター発表を届けることができます。ポスター審査員としても、早く満足できればそのポスターに対する心象がよくなります。

ショートプレゼンがないときでも、特に研究背景の部分については、「・・・については知っていますか?」 とか 「・・・について説明しましょうか?」 とか 「どんなことに興味がありますか?」 とか、聞き手に質問を投げかけて、聞き手の背景を探りながら、聞き手の聞きたい情報を中心に発表するとよいです。ポスター発表は会話形式です。そのメリットを最大限に活用して、聞き手に合わせながら、臨機応変に発表するようにしましょう。

 

ミニポスターを用意する

もちろん共著者に了解を得てからですが、A4 や A3 サイズのミニチュア版のポスターを 20~30 枚印刷しておくとよいでしょう。ポスター発表に興味を持っていただいた方に、ミニポスターを配るわけです。ポスターの前に、ご自由にお取りください、といった感じでミニポスターを貼っておいてもいいでしょう。ある意味 名刺代わりですね。

そのミニポスターにメールアドレスなどの自分の連絡先を書いておけば、あとでメールなどで質問をいただけることもあります。こういったつながりも大切にしましょう。

 

以上です。

質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。

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