今年度分の講義の内容の書かれたシラバスについては、学部はこちらから、大学院はこちらから見ることができます。ちょうど今は来年度分のシラバスを作成する時期でして、今年度の講義における学生からのフィードバックを参考にして、作り終えました。そこで、わたしの担当する分については、ひと足先に公開します。
ちなみに、来年度から大学院の担当にもなりますので、大学院での科目として一つ増えます。データ解析・プログラミング関係の講義を行う予定です。
ぜひ来年度の学部3・4年生、そして大学院生は、科目選択のときにご利用ください。
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学部3年 春:分離化学工学
授業の概要・到達目標
物質の分離は製造プロセスにおいて必要不可欠な単位操作である。ある製造プロセスに最適な分離方法を決定するためには、各種の分離方法について詳しくなければならない。ここでは代表的な分離方法である蒸留・ガス吸収・膜分離について主に講義する。
蒸留・ガス吸収・膜分離といった分離方法の原理・方法・特徴、そして分離装置の基本的な設計法を理解することを到達目標とする。
授業内容
[第1回] aのみ:イントロダクション(分離とは・いろいろな分離の方法・分離係数)
[第2回] 気液平衡・物質移動・ヘンリーの法則・ラウールの法則
[第3回] 蒸留(1) 単蒸留 物質収支・気液平衡
[第4回] 蒸留(2) フラッシュ蒸留 物質収支・気液平衡
[第5回] 蒸留(3) 多段蒸留塔の設計 物質収支・操作線・q線
[第6回] 蒸留(4) 多段蒸留塔の設計 気液平衡・階段作図・理論段数・還流比
[第7回] 蒸留(5) 多段蒸留塔の設計 階段作図の演習
[第8回] ガス吸収(1) 二重境膜説・ドライビングフォース・物質移動係数
[第9回] ガス吸収(2) ガス吸収塔 物質収支・操作線
[第10回] ガス吸収(3) ガス吸収塔 最小液ガス比・吸収塔の設計
[第11回] 膜分離(1) 膜分離法と分離膜・濃度分極モデル・阻止率・ダルシーの法則・限界流速・逆浸透法・膜抵抗
[第12回] 膜分離(2) 回分(バッチ)式濃縮プロセス・連続濃縮プロセス
[第13回] その他の分離方法・講義のまとめ
[第14回] a:試験
b:講義全体のふりかえりと試験の正答解説
履修上の注意
数式を使用することがあるが、数学について特別な準備は必要ない。
準備学習の内容
授業内容を振り返り、不明な部分があれば授業で質問すること。授業で紹介した事柄・問題について文献・web等で調べること。
参考書
『新版 化学工学の基礎』 上ノ山周 ・相原雅彦 ・岡野泰則 ・馬越大 ・佐藤智司 著 (朝倉書店) 2016年
『分離プロセス工学の基礎』 化学工学会分離プロセス部会 編 (朝倉書店) 2016年
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学部4年 秋:化学プロセスシステム工学
授業の概要・到達目標
化学プロセスの設計・制御・管理の基礎を講義し、プロセス制御のシミュレーションをする。
各自コンピュータ上でプロセス制御をシミュレーションできるようになり、さらにプロセスシステムの各段階において意思決定を合理的に行うための方法を身につけることを到達目標とする。
授業内容
[第1回] aのみ:イントロダクション(化学プロセスシステムとは)
[第2回] プロセス制御とは・流体加熱プロセスのモデリングおよびシミュレーション
[第3回] PID制御・制御性能の指標・シミュレーションによるPIDパラメータの最適化
[第4回] プロセス動特性の同定・PIDパラメータの同定
[第5回] 連続槽型反応器のモデリング・シミュレーション
[第6回] 連続槽型反応器のPID制御
[第7回] タンクの液面高さ(液レベル)制御
[第8回] 2タンク流体加熱プロセスのモデリング・シミュレーション・制御の最適化
[第9回] いろいろなPID制御・ラプラス変換・伝達関数
[第10回] ブロック線図・内部モデル制御
[第11回] スミス補償器・モデル予測制御
[第12回] ソフトセンサー
[第13回] プロセス設計・プロセス管理
[第14回] a:試験
b:講義全体のふりかえりと試験の正答解説
履修上の注意
数式を使用することがあるが、数学について特別な準備は必要ない。第2回以降、毎回ノートパソコンを使用する。Python 3.6 以上のAnaconda (https://www.anaconda.com/download/) をインストールし、必ず持参すること。
準備学習の内容
授業内容を振り返り、不明な部分があれば授業で質問すること。授業で紹介した事柄・問題について文献・web等で調べること。
参考書
『プロセス制御システム (システム制御工学シリーズ)』 大嶋 正裕 著 (コロナ社) 2003年
『プロセス制御工学』 橋本 伊織, 長谷部 伸治, 加納 学 著 (朝倉書店) 2002年
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大学院 秋:化学工学特論2
授業の概要・到達目標
プログラミング言語Pythonを利用して、実験結果・化学データを対象にしたデータ解析を行う。データ解析の理論を学習するだけでなく、ハンズオン (体験学習) により、学習した内容を自分の手でプログラミングして実行することで、深い理解および実践力の向上を目指す。プログラミングの基礎から学び、さらにサンプルプログラムを事前に準備しておくため、プログラミングについて心配する必要はない。
実験結果・化学データを解析し、その解析結果を解釈することで、データから有用な知見を自分の力で得られるようになることを到達目標とする。
授業内容
[第1回] イントロダクション(データ解析・プログラミング)
[第2回] Jupyter Notebookの使い方・Pythonプログラミング
[第3回] アルゴリズム
[第4回] 化学データの扱い・読み込み・確認・保存
[第5回] 基礎統計・検定
[第6回] 分散分析
[第7回] 相関分析
[第8回] 線形の回帰分析
[第9回] 非線形の回帰分析
[第10回] 線形のクラス分類
[第11回] 非線形のクラス分類
[第12回] 回帰モデル・クラス分類モデルの評価・解釈
[第13回] モデルの逆解析
[第14回] 総括・さらに深みを目指すために
履修上の注意
数式を使用することがあるが、数学について特別な準備は必要ない。不安な人は https://datachemeng.com/basicmathematics/ を見ておくこと。
第2回以降、毎回ノートパソコンを使用する。Python 3.6 以上のAnaconda (https://www.anaconda.com/download/) をインストールし、必ず持参すること。
準備学習の内容
授業内容を振り返り、不明な部分があれば授業で質問すること。授業で紹介した事柄・問題について文献・web等で調べること。
参考書
Python・アルゴリズム: 『実践力を身につける Pythonの教科書』 クジラ飛行机 著 (マイナビ出版) 2009年
Jupyter Notebook: https://goo.gl/FRWrax
分散分析・相関分析: 『エンジニアのための実践データ解析』 藤井宏之 著 (東京化学同人) 2009年
回帰分析・クラス分類: https://datachemeng.com/summarydataanalysis/
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以上です。
質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。