学術論文を書いたら、論文誌に投稿することになります。金子研に関係ある論文誌はこちらです。
論文誌に投稿、といっても、実際は論文誌の編集者に論文を渡します。論文の word ファイルだけ送って、確認よろ! とするのでは味気ないですし、編集者もあまりいい気はしませんので、論文には添え状 (cover letter, カバーレター) を一緒につけます。内容としては、主に下のような内容を書いたお手紙です。
- 論文の概要
- 推薦する査読者
編集者に、こんな論文を書いたので審査をよろしくお願いします、そのときに、同じ研究分野の研究者に、こんな人がいますのでその人たちに確認 (査読) してもらうのがよいかもしれません、といったことをお伝えするのです。
査読 (review) というのは、その論文が論理的に正しいのか、新規性・独自性はあるのか、インパクトはあるのか、などその論文誌に掲載してよいか確認したり、もうちょっと頑張れば掲載できるときにはどうすれば掲載できるかアドバイスしたりすることです。実際、同じ分野の研究者に論文を回して、査読してもらいます。査読してくれる人を、査読者 (reviewer, レビューワー) といいます。
カバーレターには、推薦する査読者も何人か記載します。どこかの学会で話したことがあるなど、自分の研究分野をよく知ってくれている人が望ましいです。もちろん推薦する査読者に必ず論文が回るわけではなく、編集者が別の人に査読者としてお願いすることもあります。ただ、わたしもある論文誌の編集者をしていますが、査読者を選ぶのは結構大変なので、査読者の推薦はとてもありがたいです。ちなみに、論文を投稿した人は、誰が査読したかはわかりません (コメントから誰かがわかってしまう場合もありますがw)。
とにかく、査読者が論文を確認します。査読者の判断は主に以下の4つに分かれます。
- accept (論文誌に掲載OK!!)
- minor revision (ちょっと修正すれば掲載OKよ)
- major revision (掲載するためには大きく修正する必要がありそうね)
- reject (掲載は難しそうね)
他に、査読者からのコメントがつきます。たとえば major revision のとき、どんなところを修正すれば、掲載 OK になるのか、といったコメントです。
査読者は何人かいますので、編集者がその人たちの意見を取りまとめます。そして、最終的な判断、つまり accept, minor revision, major revision, reject のどれか、を編集者が決めます。そしてその結果を、査読者のコメントを添えて、論文を投稿した人に送ります。
(わたしが論文投稿した場合) だいたいは major revision です。査読者からのたくさんのコメントがとどきますw。ここの意味はわかりにくい、とか、こちらのケースでは成り立たないのでは?、とか、このような条件で解析した結果を論文に追加すべきだ、とかです。
いただいたコメントすべてに対応するようにして、論文を修正します。修正したところは文字を青色にするなど、わかりやすくします。査読者の方が、ちゃんと修正されたかのチェックをしやすくするためですね。さらに、査読者全員に、回答書 (response sheet) と作成します。一問一答の Q & A のような感じです。コメント一つ一つに対して、個別に回答文を作成してまとめます。回答するコメントに漏れがないように注意して作成します。実は、以前に回答書の中で、査読者からいただいたコメントを一つ飛ばしてしまい、査読者の機嫌を大きく損ねてしまい、そのまま reject されてしまったことがありました。。。とにかく注意が必要です。
このような、査読と回答とを、編集者が accept と判断するまで続けます。1, 2 回で終わることもあれば、4, 5 回かかることもあります。
以上のようなカバーレターや回答書を、ついでに査読プロセス中の論文原稿も、金子研オンラインサロンで公開します。
特にはじめて論文を書く人など、論文投稿の際の参考にしていただけたらと思います。
金子研オンラインサロンにもし興味がありましたらご連絡お待ちしております。
以上です。
質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。