東京大学の太田誠一先生の研究室と金子研における共同研究の成果の論文が Journal of Bioscience and Bioengineering に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
です。これは共同研究として東京大学における太田誠一先生の研究室の方々と一緒に研究した成果です。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) は、最も一般的な悪性リンパ腫の一種です。第一選択薬であるR-CHOP療法は、DLBCL 患者の約 80% に有効ですが、一部の患者にとっては難治性疾患であり、また初回治療後に再発し、予後が良くありません。
本研究では、2つの臨床試験データを統合し、R-CHOP治療に対するDLBCL患者の効果を予測するマイクロRNA (miRNA) に基づくコンパニオン診断モデルを開発しました。クラス分類手法として、11 個の手法を検討します。
さらに、診断モデルを構築する上で最適な miRNA の組み合わせを選択するために、3つの特徴選択手法 (p値の大きさに基づく選択、ステップワイズ法、Boruta) を、11 個のクラス分類手法と組み合わせて検討しました。Boruta による特徴量選択では、他の手法と比較して少ない miRNA 高い予測精度が得られ、36 の miRNA を用いたランダムフォレスト分類器が最も良好な予測精度を示しました (AUC: 0.751)。
KEGG pathway 解析により、Boruta による特徴量選択によって類似した機能を持つ miRNA が選択されることを回避し、共線性による予測精度の低下を防げたが示唆されました。また、AUCの値はmiRNA の数の増加とともに増え、約30 のmiRNA でほぼ一定となり、今後にマルチmiRNA診断の臨床応用に向けて、最適なmiRNA が存在することが示唆されました。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。
以上です。
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