ベイズ最適化で再配向エネルギーの低い分子を設計する際の分子記述子と獲得関数を検討し、新しい獲得関数の使用方法を提案しました![パナソニック インダストリー&金子研の共同研究論文]

パナソニック インダストリーと金子研における共同研究の成果の論文が ACS Omega に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

Exploring Molecular Descriptors and Acquisition Functions in Bayesian Optimization for Designing Molecules with Low Hole Reorganization Energy

 

です。これは共同研究としてパナソニック インダストリーの方々と一緒に研究した成果であり、2023年度修士卒の川越琳太さんが修士のときに取り組んだ研究の成果です。

有機半導体は、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、太陽電池、イメージセンサーなど、さまざまなデバイスへの応用の可能性があることから、広く研究されています。しかし有機半導体は、広く使用されている無機半導体であるシリコンと比較して、キャリア移動度が大幅に低いという限界があります。そのため、有機半導体の分子をさらに探索する必要があります。正孔再配向エネルギーはキャリア移動度に影響を与えることが知られており、再配向エネルギーが低いほど移動度が高くなります。本研究では、ベイズ最適化を用いて、正孔再配向エネルギーが低い分子を探索しました。

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ベイズ最適化では、Probability of Improvement (PI), Expected Improvement (EI), Mutual Information (MI) など、いろいろな獲得関数が提案されていますが、獲得関数の性能はデータセットによって異なることが知られています。

今回は、有機半導体分子のデータセットにおいて、分子記述子とともに各獲得関数の性能を評価しました。さらに、ベイズ最適化において獲得関数を交互に使用する新たな手法を提案します。実際に検討した結果、ベイズ最適化で獲得関数を交互に使用することで、再配向エネルギーの低い分子の探索の安定性が向上することを確認しました。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

以上です。

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