金子研の研究成果の論文が Molecular Informatics に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
Molecular Odor Prediction Using Olfactory Receptor Information
です。これは修士二年の和久津優太さんが学部生のときに取り組んだ研究の成果です。
香料開発において、骨子開発の工程が労力やコスト、人材育成等の観点から律速となっています。香りは分子の構造や官能基によって大きく異なり、分子の構造から香りを予測する研究は行われていますが、実用化には至っていません。本研究では、構造がわずかに異なる分子の香りの違いをも予測するモデルの開発を目的としました。人間の嗅覚のメカニズムに着目し、メカニズムを3つのレベルに分け、
- 分子と嗅覚受容体の結合の有無を予測する分類モデル
- 結合の強さを予測する回帰モデル
- 結合の強さから臭気の有無を予測する分類モデル
の3つのモデルを構築しました。なお類似した分子の香りを識別するための記述子として、一般的な分子記述子に加えて、嗅覚受容体の情報を用いました。構築したモデルにより、光学異性体を含む類似分子間の香りの違いを予測することに成功しました。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
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