学生と話すとき、2つの先入観もしくはバイアスを意識しています。
1. 大学でやることは難しいという先入観
学生の中には、数式を見ただけで、ギブアップ!の人もいます。微分・積分はよくわからない、統計はとっつきにくい、パソコンは難しい、研究は優秀な人しかできない、といった大学でやることは難しいバイアスがかかっています。難しいので自分にはできない!という先入観があるわけです。しかも、本人はそのバイアスに気付いていない場合がほとんどです。
学生と話すときには、まずこのようなバイアスがあることを認識しなければなりません。そして、そのバイアスがある状況において、学生に何かを伝えたり理解してもらったりすることは、とても難しいです。
わたしはいつも、バイアスという雲が学生のまわりにかかっている状況をイメージしています。学生に何か伝えるためには、はじめにその雲を晴らさないといけません。しかし、その雲は学生自身にしか晴らせないこともわかってきました。
わたしにできることは、学生が雲を晴らすためのきっかけを与えることだけです。
学生には何度も話すしかないと考えています。一度話すだけで、学生にすべて伝わることはありません。仕方のないことです。そこで、言葉を変えたり、具体例を入れたり、たとえを使ったりと、いろいろ試して何度も話しながら、学生が雲を晴らすきっかけになることを探します。
また、できるだけ伝えたいことを細かく分けて、学生の わかった!理解できた! という小さな成功体験を積み重ねることも有効です。
2. 先生には怒られるという先入観
学生の中には、先生はみんな怒るもの、先生から何か言われたときは怒られている、という先入観がある人もいます。すべての先生は怒る怖い人というバイアスがあるのです。1. のバイアスと同じように、このバイアスも気付いてないことが多いです。
学生と話すときには、まずこのようなバイアスがあることを認識しなければなりません。ただ注意を促したり、アドバイスをしたりしただけでも、学生は先生から怒られた、となります。仕方のないことです。
ちなみに、怒るということは、コミュニケーションの手段としてとても非効率です。怒られた側は完全に思考停止して、逃れるために全肯定するだけになってしまいます。コミュニケーションできません。学生が怒られたと感じることは避けたいところです。
ここでも、何度も学生と話すしかないと考えています。何回も話をする中で学生が、怒っているわけではなく、注意をしてくれたりアドバイスをくれたりするだけなんだ、と感じるきっかけになることがあります。
2つのバイアスがあることを意識しながら、学生と根気強く話し続けることが重要と考えています。
以上です。
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