Metallole系の蛍光材料の量子収率を予測する機械学習モデルの開発とモデルに基づく分子設計をした![広島大学&金子研の共同研究論文]

広島大学と金子研における共同研究の成果の論文が molecules に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

A Practical Application of Machine Learning for the Development of Metallole-Based Fluorescent Materials

 

です。これは共同研究として広島大学の方々と一緒に研究した成果です。

有機発光化合物は、イメージング、センシング、エレクトロルミネッセンス材料としての使用を目的として、これまで広範囲に研究されてきました。実用化のためには、吸収および発光波長に加えて、蛍光量子効率の制御が重要です。しかし、吸収波長や発光波長は分子シミュレーションによって予測できるのに対し、発光量子収率の予測は困難です。

本研究では、量子収率が所望の水準を満たす新規なメタルオレ系蛍光材料を探索するため、機械学習により分子構造から量子収率を予測するモデルを構築しました。具体的には、機械学習法としてランダムフォレストや light GBM を用いて、2次元や3次元の分子記述子から量子収率 50% 以上であるか否かを判別するクラス分類モデルを構築しました。クロスバリデーションによる検証の結果、量子収率の予測に妥当な精度をもつと確認しました。またモデルの組み合わせにより予測精度が若干改善することが示されました。

次に、合成候補のスクリーニングを行い、10 種類の蛍光分子を合成し、予測精度を確認しました。合成した分子の蛍光量子収率を測定したところ、予測モデルが量子収率を 0.7 の正解率で分類できることが示されました。特に、量子収率の低い分子を正確に予測でき、候補分子の中から蛍光性の弱い分子を選別する際にモデルが有用であることが示されました。

一方で、量子収率の高い、フッ素分子が多く含まれる分子に対して誤分類してしまったため、新たに合成したデータをデータセットに追加し、モデルを再構築したところ、データセットの拡充により予測精度の向上を確認しました。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。

 

以上です。

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