学会に行くと、自分で研究発表をする以外に、たくさんの研究者の発表を聴くことができます。いろいろな研究・考え方に触れることができて、面白いものです。
人の発表を聞くとき、基本的にはこちらに書いたような発表の流れ
- 背景
- 問題点
- 目的
- 方針
- 手法 (アイデア)
- 結果と考察
- まとめ
- 今後の展望
にそって理解していけばよいはずです。でも、15分くらいでたくさんの内容を一気に話しますし、一回聴くだけですべてを理解するのは難しいのではないでしょうか。特に研究分野が異なると、途中で脱落して眠くなることも・・・。
そこで、研究発表を聴くとき、効率的に話の内容を理解するために、わたしが心がけているポイントを紹介します。それはたったの2つです。
- どんな問題意識をもっているか押さえる
- 自分ならどうするか、考えながら聴く
順に説明します。
1. どんな問題意識をもっているか押さえる
まず、研究発表の前半で、発表している研究者がどんな問題意識をもっているか把握することを努めます。
最初に背景を話してから、研究目的につなげるはずですので、そこまでに基本的には対象とする問題点が出てくるはずです。明示的に「問題点」といわないときでも、「問題意識」はあります。その問題意識を、集中して理解するようにします。
なぜ問題点に着目するかというと、問題点が出発点だと考えているからです。基本的に、目的は問題点を解決することなので、問題点から目的につながります。そして目的を達成するために、方針を考えますので、目的から方針につながります。その方針にそって手法を提案・開発しているはずですので、方針から手法につながります。手法の検証のために、実験・シミュレーションがあり、結果と考察になります。このように、問題意識を出発点として、
目的
↓
方針
↓
手法
↓
結果と考察
と、それからの話がつながっていくわけです。最初に問題意識を理解することで、その後の内容も理解しやすくなります。
2. 自分ならどうするか、考えながら聴く
問題意識を理解したら、次からは、「自分ならどうするか」 ということを考えながら話を聞きます。
問題点を解決するために、自分ならどういった目的を設定するか、を考えます。そして、発表を聴いて、実際の目的と答え合わせをします。合っていれば、OK、と先に進み、違っていれば、なるほどそういう考え方もあるのか、という風にして理解します。
目的からどんな方針を立てるか、自分ならどういう手法を試してみるか、自分ならどういう実験やシミュレーションをして手法 (アイデア) の有効性を検証するか、というふうに自分なりの考えをもちます。そして、それぞれ実際の発表内容と答え合わせです。このように、自分ならどうするか考え、答え合わせをする、ということを繰り返しながら話を聞くわけです。自分の考えと実際の内容とが大きく違うときは、メモをするとよいかもしれません。
このように、自分でも考えながら能動的に話を聞いていると、あたかも発表者と会話をしながら話を聴くような感じで、理解がはかどると思います。
以上です。
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