東大生と明大生、その違いとは?

大学ごとに学生を区別するのが妥当かどうかはさておき、少なくとも世間からは “東京大学の学生” とか ”明治大学の学生” という目で見られますので (たとえば就活とか)、その違いについて話したいと思います。東京大学の学生を “東大生”、明治大学の学生を “明大生” と略します。

ちなみに、わたしは東大生や明大生を指導した期間は次のとおりです。

 

  • 東大生 (おもに化学システム工学科の学生) を指導: 7 年間
  • 明大生 (おもに応用化学科の学生) を指導: 3 年間 (2020年3月 現在)

 

このような経験での話です。

まず前提として、「東大生 > 明大生」 とか 「東大生 < 明大生」 とかの議論は違います。そもそも 等号 (=)・不等号 (> や <) は、基本的に数値を比較するときに用いる記号であり、100 < 150 は OK ですが、「椅子 < 机」 は変ですね。比較するときには、数値にする必要があります。また数値は一種類だけではありません。一般的な人を数値で表すことを考えたとき、身長とか体重とか、いろいろな数値の種類が出てくると思います。人は、一つの軸で表現できないわけですね。複数の軸 (数値の種類) で考える必要があります。もっとも、研究スキル・研究能力だけを考えても、15 個もあると考えらます。

研究スキル・研究能力を構成する15の力
データ化学工学研究室 (金子研) では学生の成長を最優先に考えていることはこちらに書いたとおりです。 学生が成長して、研究スキル (能力・技能) が高まります。ただ、研究スキル、研究する能力といっても一つではありません。 ここでは、研究力を...

 

また、東大生もたくさんいますし、明大生もたくさんいます。分布があります。ある能力では下のような分布かもしれません。

 

 

東大生の中にもいろんな人がいて、明大生の中にもいろんな人がいますので、ある能力値では東大生のほうが大きい傾向があっても、ある明大生のほうがある東大生より能力値が大きいこともあるわけです。

もちろん、別の能力では下のような分布かもしれませんし、

 

 

さらに下のような分布となる能力もあるかもしれません。

 

 

以上をまとめると、比較するときにはどの数値の種類であるか明確にして、数値の種類は複数あることや、それぞれ分布をもっていることを念頭に入れる必要があります。これが大前提です。

話を進めます。今は明治大学の教員ですので、(明大生をひいきするのを避けるため) 東大生を基準に考えます。

このような中、一ついえる確かなことは、

 

その人が受験したときの、東大入試の点数は、東大生のほうが明大生のそれより大きい

 

です。さらにいえば、東大生と明大生の基本的な違いはそこだけであり、それ以上でもそれ以下でもないと考えています。体感的に感じる東大生と明大生の違いも、結局そこにたどり着きます。

東大入試の数学や理科は基本的に文章問題です。論理的な文章で回答を記述する必要があります。東大生はそのような回答が得意なためか、A ならば B、B ならば C、よって A ならば C といった考え方は、C ならば D、DならばE、・・・と長くなっても得意なようです。一方で明大生は、一つの考えに固執しない、頭の切り替えをするのが得意なようです。東大生は、東大入試の勉強に固執した (しすぎた) ためかもしれません。

主な違いとしてはこんな感じです。他に関しては、体感的にはあまり違いはないと思います。たとえば、プログラミングや機械学習の手法などの新しく学ぶ内容の吸収力や、文章やスライドでの表現力には、体感的には差はなさそうです。もちろん分布はあります。研究において、東大生にも学部や修士で (研究成果を出して) 学術論文を書ける学生もいれば、書けない学生もいますし、明大生にも同様に両方います。

大事なことは、大学に入ってからの 4 年間 (修士に進学したら+2年) と思います。たとえば 1 日 1 時間余計に何かに取り組んだ人は、取り組まなかった人と比べて、1 [時間] × 365 [日] × 4 [年] = 1460 時間分の差が出てきます。この時間は、一日 8 時間働く正社員 (ホワイト!) としたら、およそ8ヶ月分になります。プロジェクトなら 1 つか 2 つ成し遂げられそうですね。出世もだいぶ違うと思いますw。1 時間でもこれくらいの差になりますので、4 年間は非常に長いです。好きなことに思う存分、取り組むとよいと思います。

 

以上です。

質問やコメントなどありましたら、twitter, facebook, メールなどでご連絡いただけるとうれしいです。

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