回帰分析手法やクラス分類手法のハイパーパラメータをベイズ最適化で高速に最適化する

DCEKit に搭載されている Gaussian Mixture Regression (GMR) や Variational Bayesian Gaussian Mixture Regression (VBGMR) について、

[Pythonコードあり] 教師あり混合ガウスモデル(Supervised Gaussian Mixture Models)で回帰分析も逆解析も自由自在に♪~Gaussian Mixture Regression(GMR)~
混合ガウスモデル (Gaussian Mixture Models, GMM) を教師あり学習に対応させた Gaussian Mixture Regression (GMR) について、pdfとパワーポイントの資料を作成しました。GMM に...

 

クロスバリデーションとベイズ最適化によってハイパーパラメータを最適化する機能を追加しました。DCEKit における以下のデモンストレーションも実行していただければ、最適化される様子をご覧いただけると思います。

  • demo_gmr_with_cross_validation_bayesian_optimization.py
  • demo_vbgmr_with_cross_validation_bayesian_optimization.py

 

ここでは、クロスバリデーションとベイズ最適化によるハイパーパラメータの最適化について説明します。GMR や VBGMR を例にして説明しますが、それらに限らずハイパーパラメータの種類が多い回帰分析手法・クラス分類手法のハイパーパラメータを最適化するためにベイズ最適化はとても適していますので、参考になると思います。

はじめに、GMR と VBGMR のハイパーパラメータの種類は以下の通りです。

 

○ GMR

  • 正規分布の数
  • 分散共分散行列の種類
  • mode を用いて予測するか、meanを用いて予測するか

 

○ VBGMR

  • 正規分布の数
  • 分散共分散行列の種類
  • 重みの事前分布の種類
  • 重みの事前分布のパラメータ
  • mode を用いて予測するか、meanを用いて予測するか

 

まずベイズ最適化の前に、ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせを生成します。グリッドサーチとクロスバリデーションを使った方法では、

DCEKit に新機能追加 [v2.5.2]!Variational Bayesian Gaussian Mixture Regression(VBGMR)とクロスバリデーションによるGMR最適化
DCEKit に今回追加したのは Variational Bayesian Gaussian Mixture Regression (VBGMR) と、GMR や VBGMR におけるクロスバリデーションによるハイパーパラメータ最適化です。...

 

ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせでクロスバリデーションを行い、回帰分析であれば r2 が最大になる候補を、クラス分類であれば正解率などが最大になる候補を選択しますが、特にハイパーパラメータの種類や候補の数が多くなると、ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせでクロスバリデーションをするのに時間がかかってしまいます。

そこで、ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせではクロスバリデーションをせずに、少数の組み合わせのみでクロスバリデーション後の r2 や正解率を高くするために、ベイズ最適化を使用します。

[無料公開] 「Pythonで学ぶ実験計画法入門 ベイズ最適化によるデータ解析」 の “まえがき”、目次の詳細、第1・2章
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ベイズ最適化において構築するガウス過程回帰モデルの説明変数 x がハイパーパラメータであり、目的変数 y がクロスバリデーション後の r2 や正解率になります。GMR や VBGMR における「分散共分散行列の種類」のようなカテゴリーの情報をもつハイパーパラメータは、ダミー変数で表し x とします。

まず、ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせの中から、D最適基準に基づく実験計画法により、

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2021 年 6 月 3 日に、金子弘昌著の「Pythonで学ぶ実験計画法入門 ベイズ最適化によるデータ解析」が出版されました。講談社: Amazon: Amazon(Kindle): === 出版して約2年経過した 2023 年 4 月 ...

 

最初にクロスバリデーションすべき少数の組み合わせを選択します。DCEKit では 15 個選択しています。その後、15 組のハイパーパラメータの候補の組み合わせに対し、GMR や VBGMR でクロスバリデーションを実行し (15 回実行)、r2 を計算します。この 15 サンプルを用いて、(カテゴリー変数についてはダミー変数にした) ハイパーパラメータ (x) とクロスバリデーション後の r2 (y) の間でガウス過程回帰モデル y = f(x) を構築します。

その後、まだクロスバリデーションを行っていないハイパーパラメータの候補の組み合わせに対し、ガウス過程回帰モデルを用いて r2 の予測と獲得関数の計算を行います。そして、獲得関数の値が最大となるハイパーパラメータの候補の組み合わせを選択します。

次は、選択されたハイパーパラメータの候補の組み合わせで、GMR や VBGMR でクロスバリデーションを実行し (1 回実行)、r2 を計算します。この結果は、ガウス過程回帰モデルを構築するサンプルに追加します。

この後は、

 

  1. ガウス過程回帰モデルの再構築
  2. r2 の予測と獲得関数の計算
  3. 獲得関数が最大となるハイパーパラメータの候補の組み合わせの選択
  4. クロスバリデーションと r2 の計算

 

を繰り返すことで、クロスバリデーション後の r2 が最大となるハイパーパラメータの組み合わせを目指します。DCEKit のデフォルトの設定では、15 回繰り返します。これにより、ハイパーパラメータの候補のすべての組み合わせが何百個あろうとも、30 回 (最初の15回 + ベイズ最適化における繰り返しの 15 回)のクロスバリデーションで、ハイパーパラメータが最適化されます。効率的かつ高速にハイパーパラメータを決定可能です。

GMR や VBGMR に限らず、このクロスバリデーションとベイズ最適化に基づく方法はハイパーパラメータの種類や候補が多い回帰分析手法・クラス分類手法に有効です。ご参考になれば幸いです。

 

以上です。

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