研究費を社会で循環させることで価値を生み出す、という考え方

わたしはこれまで研究費を、国・企業・大学・その他いろいろな団体からいただき、そのお陰さまをもちまして、研究を進めることができております。今の金子研でも、嬉しくもすでにいろいろなサポートをいただきました。いつも感謝致しております。

研究費をいただきながら研究する上で考えていることは、研究費を使う、というよりも、研究費を社会で循環させ、それにより価値を生み出す、ということです。

それを説明するため、とても単純な例を考えてみましょう。たとえば、金子研に100万円の研究費があったとします。わたしはその100万円で、コンピュータ会社から高性能なコンピュータを買います。金子研はそのコンピュータで、最先端の研究を進められます。

100万円を得たコンピュータ会社は、その100万円で材料会社から、新しいコンピュータを作るための最先端材料を買います。コンピュータ会社は買った材料で、より高性能のコンピュータを作ることができます。

100万円が手に入った材料会社は、さらに高機能な材料を開発するために、その100万円で金子研に共同研究を依頼します。材料会社は、新しい材料を作るための技術が手に入ります。

金子研に100万円が戻ってきました。100万円が 金子研 → コンピュータ会社 → 材料会社 → 金子研 と渡りゆくなかで、

  • 金子研は 高性能なコンピュータ (と新しい材料を開発するとための研究テーマ) を、
  • コンピュータ会社は 最先端の材料を、
  • 材料会社は、高機能材料をつくるための技術を、

得ることができました。このように、100万円の研究費を置いておくだけでは それはだたの100万円ですが、循環させることで、社会に

  • 高性能なコンピュータ
  • 新しい材料を開発するための研究テーマ
  • 最先端の材料
  • 高機能材料をつくるための技術

といった

新たな価値を生み出すことができる

わけです。

もちろん実際は、モノの流れはもっと複雑だったり、人件費がかかったりと、これほど単純ではありませんが、考え方としては、このように研究費を社会に循環させることで価値を生み出す、というものです。雇用を生み出すこともできるかもしれません。

最先端の研究・社会に還元できる研究を行うために研究費を使う、ということももちろん大事であり、実際そのように研究費を利用しているわけですが、もう一歩進んで、この研究費を使うことで社会にどんな価値が生み出されるか、も考えています。

コンピュータシミュレーション系の研究室なので、それほど多くの研究費を使うわけではありませんが、それでも研究費をためることなく、社会に循環させることを心がけています。

今回はちょっとした考え方のお話でした。ここまでお読みいただきありがとうございます。

以上です。

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