よくスポーツとかで、練習は試合のように行い、試合は練習のようにしよう、とかいわれます。適当に練習したら、いくら練習しても力になりませんし、本番には活かせません。なので練習ではいつも試合を想定して、あたかも試合であるような緊張感をもって行います。また試合だからといって肩に力が入っていたら、思うように力を発揮できません。試合では、試合だからといって肩肘張らずに、練習でできたことを あたかも練習で行っているように実践します。
この考え方は普遍的で汎用的と思っていまして、研究者としても同様の考え方を活かせるはずです。そこで、研究者でも使える同じような教訓めいたものを、いくつか考えてみました。多少 無理やりな感じの残るものもありますが、ご了承ください。
リハーサルは本番のように、本番はリハーサルのように
研究発表・プレゼンの話です。本番の前に発表練習 (リハーサル) をすると思います。リハーサルをするにも時間が必要ですので、より効率的にリハーサルできる方がよいわけです。より本番に近い状況を想定して、発表時間も本番のとおりにして、実際に聞いている人が (たくさん) いると仮定して、リハーサルしましょう。また研究発表・プレゼンの本番のときには、聴衆を前にすると緊張してしまうかもしれませんが、ゼミなどで発表練習したときのように、心に余裕をもってプレゼンしましょう。
教員とは学生と話すように、学生とは教員と話すように
これは自分の立場が学生か教員かで異なります。自分が学生の場合、教員と話すときに緊張してしまい、話したいことを話せない、なんてこともあったかと思います。ただ緊張する必要はなく、学生と話すときのように、普段どおり話したいことを話せばよいのです。逆に学生と話すとき、学生もまた研究者ですので、教員と話すときのように敬意をもって話しましょう。逆に自分が教員の場合も、学生にも敬意を払って話します。
ゼミは飲み会のように、飲み会はゼミのように
ゼミなどの研究室内で研究の進捗を発表する場では、基本的には真面目な雰囲気だと思います。人によっては、そのような場では緊張してしまい、うまく口が回らない人もいるのではないでしょうか。また発表を聴く側も、質問しにくいこともあるのではないでしょうか。みんなでお酒を飲んでから発表しようといっているわけではありませんが、飲み会のような和やかな雰囲気になれば、発表もしやすく、それに対する質問も出やすいかと思います。逆に飲み会ではお酒も入り、気持ちも大きくなり羽目を外しやすいので、ゼミのような緊張感をもったほうが、翌日の後悔も少ないかもしれません。
シミュレーションは (ウェットな) 実験のように、実験はシミュレーションのように
コンピュータシミュレーションは、ウェットな実験と違って、繰り返し行うのにあまりコストがかからないことが多いです。そのように気軽にシミュレーションできてしまうため、自分で作ったコードが正しいかどうかの確認がおろそかになったり、結果が正しいかどうかの検証がいい加減になったり、パラメータの振り方が適当になったり、しがちです。もちろん一度の実験にコストがかからないことはコンピュータシミュレーションのメリットの一つですが、実際にやるときはウェットな実験をするときのように気を引き締めて、シミュレーションのコード作成・設定や、結果の検証をしましょう。逆にウェットな実験をするときは、コストがかかるといって肩の力が入っていてはうまくいくものもうまくいきません。シミュレーションを実行してみるときのように、リラックスして行いましょう。
教科書は漫画のように、漫画は教科書のように
教科書には難しいことが書かれている、という先入観があると、普通に読めば入ってくる内容も、ぜんぜん入ってきません。漫画を読むときのように、肩肘張らずにリラックスして読みましょう。そうすれば、意外と教科書もサクサク読み進められるものです。
また漫画を読む中でも、ためになる話や教訓になる話が多いです。教科書を読むときのように、いろいろ吸収できることは吸収しよう、というスタンスで漫画も読むのがよいと思います。
論文はブログのように、ブログは論文のように
文章を書くときの話です。論文のように小難しいものをいきなり書こうとすると、筆もなかなか進まないでしょう。なので、日記やブログを書くときのように、気楽な気持ちで気楽な内容を書き始めるのがよいと思います。ある程度文章がたまってから、推敲を重ねて論文の形にすればよいのです。論文執筆が進まない人は、なんでもよいのでとりあえず書いてみましょう。
逆に論文を書くときには、気楽になりすぎて論理構成がめちゃくちゃになったり言葉選びが適当になったりすると、読みにくいものになってしまいます。論文を書くときのように、論理構成・用いる言葉をしっかり考えて書くのがよいです。
以上です。
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