研究発表や講演における質問の答え方として、テクニック的なことはこちらに書きました。
今回は、質問への回答の仕方のアドバンス編として、回答するときの心構えについて説明します。ただ、アドバンス編としての心構えですので、十分に上のテクニックができてから、実践するのがよいと思います。慣れてない中で実践すると、相手から聞かれてないことに答えてしまうかもしれません。気をつけてください。
質問に答えるときに、わたしが念頭に入れていることは、どのようにして相手の課題を解決できるか、そして相手の人の満足度を上げられるか、です。質問するということは、その人は何らかの課題をもっている、と考えられます。その課題の背景を含めて質問される方もいらっしゃいますが、質問のみをされる方もいらっしゃいます (どちらが良い、という話では全くなく、色々な人がいらっしゃるという話です)。
質問をいただいたとき、質問に対して適切に回答するのはもちろんのこと、その人の課題を解決しよう!それによってその質問される方の満足度を上げよう! という心構えでいます。ちなみに金子研オンラインサロンでも、そのような気持ちで回答しています。
たとえば、
「いくつも回帰モデルがある中で、どのようにモデルを選択しますか?」
というような質問があったとします。回答としては、モデル構築用データ (トレーニングデータ) とモデル検証用データ (テストデータ) に分けて、トレーニングデータでモデルを構築して、テストデータを推定して、そのテストデータにおける推定性能が高いモデルを選択しています、のようになりそうです。
ただ、そのような質問をするということは、新しいサンプルに対する推定精度を上げる、という課題があると考えられます。なので、大事なことは新しいサンプルに対する推定精度が高いモデルを選ぶことです、おのための評価をするために、新しいサンプルと仮定したテストデータを準備して、そのデータに対する推定精度を評価します、といったことを回答に入れ込みます。新しいサンプルに対する推定精度を上げるという課題を解決できるような形で回答するわけです。
大事なことは、より丁寧に回答することではなく (もちろん丁寧に回答するのはよいことです!が、冗長にならないよう注意が必要です)、想像力を働かせて、相手は本質的に何を求めているのか、どんな課題をもっているのか、考えることです。これにはトレーニングが必要です。
質問に対する回答に慣れた方は、このような相手の課題を解決するという心構えをもつと、回答することにより相手の満足度を上げられると思います。
以上です。
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