研究や開発は仮説と検証の繰り返しです。たくさん試行錯誤しながら、よい方向へ進んで行きます。
最初は一つアイデア (仮説) から研究がスタートするかもしれませんが、基本的にはそのアイデアがそのままの形で最後まで残ることはほとんどありません。素晴らしいアイデアと思っても、検証してみたら失敗、といったこともあります。いろいろなアイデアが出てきて、それらを仮説・検証することを繰り返しながら、それらのアイデアの中から生き残ったアイデアに基づいて、さらに前に進んでいくような感じです。10 個のアイデアがっても、試行錯誤しながら 9 個失敗し、1 個残る、といったイメージです。
なので、研究は一本のきれいな道が通っていて、それに基づいて進むわけではまったくなく、仮説と検証、すなわち失敗を繰り返しながら進むものと思います。
ただその結果として、いろいろな横道を開拓しながら進むことで、失敗の数だけ道は広くなり、研究の幅の広さになります。さらに、その広い道から派生して、新たな道が見つかることもあります。
脳科学の研究におけるネズミさんの実験でも、
二つの研究結果のうちのひとつは、学習の初期にたくさん失敗した、失敗率の高いネズミほど最終的に学習スピードが速く、学習を達成するまでの日数が短くて済むということです(実験1参照)。
というのがあります (誤答の研究─脳科学の研究で分かった「失敗こそが学び」 の 「ネズミの学習実験から、失敗の重要性が浮上」 より引用。同じ著者の本「脳はすこぶる快楽主義 パテカトルの万脳薬」も面白いです。ねずみさんの実験の話もあります)。失敗が大事、試行錯誤が大事、チャレンジが大事、ということはよく言われますが、さらに踏み込んで、学習の初期にたくさん失敗したほうが成功に近い、ということです。
研究の初期ほど、一つのアイデアを大事にするのではなく、たくさんのアイデアを検証することが重要です。
このような考え方のメリットの一つとして、前に進んでいることを確認・実感できることがあげられます。
試行錯誤によって可能性 (アイデア) を潰すことができたということは、最終的な成果まで少し近づいたといえます。素晴らしいアイデアが出てこないと、研究が進んでいないと考えてしまうこともあると思いますが、どんな小さなアイデアでも、一つ検証できた!となれば、研究が前に進んでいることを実感できます。精神衛生上にもよいと思います。
もちろん検証する方法にも、頭を使ったり手を動かしたりといろいろあります。研究の初期ほど、ぜひ小さなアイデアでもたくさん出して、仮説・検証を繰り返すのがよいと思います。
以上です。
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