ベイズ最適化において二種類のパレート最適解を用いて既存の獲得関数による探索性能を大きく向上させる手法を提案しました!![金子研論文]

金子研の論文が Next Research に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

Discussion on candidate screening in Bayesian optimization based on two types of pareto-optimal solutions for the mean and standard deviation of predictions

 

です。

本論文は、分子、材料、プロセス設計の効率化に広く用いられているベイズ最適化(BO)における、新たな候補スクリーニングの手法を提案しています。従来のベイズ最適化では、ガウス過程回帰モデルによって予測された目的変数の平均値と標準偏差を用いて単一の獲得関数を計算し、その値を最大化する条件を次の実験候補として選択するのが一般的です。しかし、この手法では平均値と標準偏差という独立して変化し得る二つの重要な指標が一次元の値に圧縮されてしまうため、候補探索において各々の指標を個別に評価することが困難でした。さらに、実際の研究・開発では目的変数に対して具体的な目標値が設定されることが多く、現在の予測値が目標に近いか遠いかによって、探索の戦略を変えるべきですが、既存の手法はこれに対応できません。

これらの課題を解決するため、本研究は予測値の平均と標準偏差の二次元空間において、二種類のパレート最適解(パレートフロント)を定義し、それらを活用して候補をスクリーニングする新しい手法を提案しています。具体的には、予測された平均値が目標値を超えている場合、平均値を最大化しつつ標準偏差を最小化する「活用のパレートフロント(PF0)」を探索します。このPF0からは、ばらつきが最も小さく確実に目標を達成できる候補、あるいは目標範囲に入る確率(PTR)が最も高い候補を選択します。一方、予測された平均値が目標値に達していない場合は、平均値と標準偏差の双方を最大化する「探索のパレートフロント(PF1)」を探索します。このPF1からは、平均値は目標に未達でも不確実性が大きく、結果として目標を達成する可能性を秘めた候補を、PIやEI、MI、UCBといった既存の獲得関数を用いて選択します。

提案手法の最大のインパクトは、新しい獲得関数や機械学習モデルそのものを開発するのではなく、既存の指標を組み合わせる前段階のスクリーニング方法を見直した点にあります。実際に5つのベンチマーク関数を用いて評価を行った結果、従来のような100万点の大規模なランダム候補生成による探索と比較して、提案手法によるスクリーニングの方が、既存の獲得関数の値をより高くする優秀な実験候補を多様に抽出できることが実証されました。この結果は、候補探索において平均値と標準偏差を一次元の値に集約する前に二次元空間で個別に評価・選別する本アプローチが、ベイズ最適化における候補選定を大きく向上させる実用的な手段であることを示しています。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

以上です。

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