DFT計算とベイズ最適化、そしてドメイン知識を駆使して新たな有機半導体材料の分子を開発しました![パナソニック&金子研の共同研究論文]

パナソニックと金子研における共同研究の成果の論文が The Journal of Physical Chemistry A に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

Design of Molecules with Low Hole and Electron Reorganization Energy Using DFT Calculations and Bayesian Optimization

 

です。これは共同研究としてパナソニックの方々と一緒に研究した成果であり、2019 年度修士卒の清水直斗さんや2021年度修士卒の山本統久が一緒に取り組んだ研究の成果です。

フラーレンや縮合チオフェンなどの従来の有機半導体材料よりも高い移動度を示す材料が求められています。そこで、移動度の向上を示す可能性のある新しい分子を探索するために、密度汎関数理論(Density Functional Theory, DFT)計算とベイズ最適化を組み合わせて、再配向エネルギーの低い分子を設計する適応的実験計画法・能動学習を行いました。

165 分子の DFT 計算の結果をデータセットとして用いて、p型半導体材料としては正孔の再配向エネルギーを目的変数 y、n型半導体材料としては電子の再配向エネルギーを y として、分子記述子を x としてガウス過程回帰(GPR)モデル y = f(x) を構築します。

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仮想的に生成した分子の中から、GPRモデルから計算された獲得関数の値が高い有望な分子を選択し、

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選択された分子に対して DFT 計算を実施します。実施した結果はデータセットに追加します。

これらの GPR モデル構築、有望な分子の選択、DFT 計算を 5 回繰り返して、分子設計を行いました。その結果、p型半導体材料・n型半導体材料それぞれ、最初のデータセットの最小値よりも小さい正孔の再配向エネルギー・電子の再配向エネルギーをもつ分子を探索することに成功しました。これらはそれぞれ HOMO, LUMO や、双極子モーメントも良好な値をもつことを確認しています。

さらに、分子設計の間に考察したドメイン知識に基づいて分子を変換することで、さらに再配向エネルギーの小さい分子を発見しました。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。

 

以上です。

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