テストデータ・バリデーションデータ(モデル検証用データ)におけるモデルの精度が低いときのポジティブな側面

回帰分析やクラス分類の話です。データセットがあるとき、まずモデル構築用データ (トレーニングデータ) とモデル検証用データ (テストデータ) に分けます。次にトレーニングデータで回帰モデル・クラス分類モデルを構築します。そして、モデル構築に用いていない新しいデータであるテストデータで、構築されたモデルがどのくらいの精度をもつか検証を行います。

回帰モデル・クラス分類モデルを評価・比較するためのモデルの検証 (Model validation)
いろいろな回帰モデル・クラス分類モデルを構築したり、モデルの中のハイパーパラメータ (PLSの成分数など) を決めたりするとき、モデルを評価・比較しなければなりません。そのためのモデルの検証 (model validation) の方法につ...

 

テストデータにおいて説明変数 X の値から目的変数 y の値を推定したとき、全体的にトレーニングデータにおける推定誤差と同じくらいの誤差であれば happy、というわけです。しかしながら、いつもそうとは限りません。

トレーニングデータの y の値は精度よく (誤差は小さく) 推定できたのに、テストデータにおける y の値の推定誤差が大きくなってしまった!ってことも起こります。あまりうれしくない話ですね。こんなとき、モデルがトレーニングデータにオーバーフィット (過学習) したのかなぁ、とか、テストデータがモデルの適用範囲の外なのかなぁ、とか、テストデータに外れ値があるのかなぁ、とか議論するわけです。

人工知能・機械学習のときには過学習 (オーバーフィッティング) に気をつけよう!~過学習とその対処法~
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モデルの適用範囲・モデルの適用領域 (Applicability Domain, AD) ~回帰モデル・クラス分類モデルを使うとき必須となる概念~
今回は、モデルの適用範囲・モデルの適用領域 (Applicability Domain, AD) についてです。AD は回帰モデル・クラス分類モデルが本来の性能を発揮できるデータ領域のことです。回帰モデル・クラス分類モデルを使うとき必須にな...
外れ値検出 (Outlier Detection) もしくは 外れサンプル検出 (Outlier Sample Detection) ~他の値・サンプルと大きく異なる値・サンプルを見つけよう!~
今回は、外れ値検出 (Outlier Detection) もしくは 外れサンプル検出 (Outlier Sample Detection) についてです。他の値と大きく異なる値を見つけたり、他のサンプルと大きく異なるサンプルを見つけたりす...

 

もちろん、こういった議論は大事です。ただ、テストデータにおける推定精度が低いときにも、うれしいと思えることはあります。

それは

X と y の間の新しい関係を発見できたかも!?

ということです。トレーニングデータにおける X と y との間の関係を表現したモデルでは、テストデータにおける X と y との間の関係を表現できなかったということは、トレーニングデータにおける関係とは異なる関係がテストデータにはあるはずです。

そもそもの回帰分析・クラス分類の目的は、今あるすべてのデータセットを用いて X と y との間のモデルを構築することで、y の値がわからないデータにおいて、X の値のみから y の値を推定することです。トレーニグデータで構築したモデルと、最終的に用いるモデルとは異なります。最終的に用いるモデルは、トレーニグデータもテストデータも含むすべてのデータを用いて構築されたモデルなわけです。テストデータの X と y との間の関係を、最終的に用いるモデルに取り込めることで、より多様な X と y との間の関係をモデルで考慮できるようになります。モデルの適用範囲も広がるでしょう。

100点満点の試験で50点を取ってしまっても、復習して次に100点を取れれば OK !! といった感じでしょうか。むしろ試験を通して成長できていますね。

もちろん、トレーニグデータでは良好なモデルが構築できたことが前提の話ですし、最終的なモデルを構築するときも、y-randomization やモデルの適用範囲を検討する必要はあります。

y-randomizationで過学習(オーバーフィッティング), Chance Correlation(偶然の相関)の危険度を評価!
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ただ、テストデータにおけるモデルの精度が低いとき、ただ落ち込むだけでなく、このようなポジティブな側面もあることを考えていただければと思います。

 

以上です。

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