北興化学工業と金子研における共同研究の成果の論文が ACS Omega に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは
Molecular Design of Novel Herbicide and Insecticide Seed Compounds with Machine Learning
です。これは共同研究として北興化学工業の方々と一緒に研究した成果であり、修士卒の中山祐生さんが修士のときに取り組んだ研究の成果です。
雑草や害虫を除去し、作物の生産性を向上させるために農薬が広く活用されています。従来の農薬の開発では、化合物の合成、活性試験、生態系への影響の調査などが行われます。しかし、農薬となる化合物を発見する成功率は極めて低く、多くの化合物を合成・試験を行わなければなりません。そのため多くの人的・金銭的・時間的コストが必要になります。そのような状況の中で、医薬品や農薬の開発において機械学習が注目されています。本研究では、農薬の中でも使用率の高い除草剤と殺虫剤に着目し、機械学習による新規除草剤と殺虫剤の新規シード化合物の分子設計を行います。新規除草剤の分子設計では、8 種類の雑草種間の関係を考慮する説明変数の表現方法やアンサンブル学習により 99 サンプルの新規除草剤を提案しました。新規殺虫剤のシード化合物の分子設計では、不均衡なデータにおける少数派クラスのサンプルのほとんど全てが多数派クラスと予測されてしまうという問題点についてアンダーサンプリングやアンサンブル学習を活用し、約 34万の化合物の中から 12 化合物を提案しました。そして、提案された化合物を実際に効果試験することで 2 種類の新規殺虫剤のシード化合物を発見しました。
興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
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