設計の目的は設計することではなくて、何かしらの問題を解決することです。あたりまえのことかもしれませんが、少しお話しします。
いろいろな設計問題があります。分子・化学構造を設計したり、材料の作り方 (実験条件・製造条件) を設計したり、プロセスを設計したり、です。企業や大学・研究所との共同研究では、このような設計問題に関係することが多いです。
設計は手段であり、それ自体が目的ではありません。では何が目的かというと、問題解決です。既存の化合物、既存の材料、既存のプロセスでは、問題があるわけです。目的は、そういった問題を解決することにあります。
設計自体が目的になってしまうと、もちろん、たとえば材料の物性などに目標の値があったりはしますが、何かしら設計できれば目的達成ということになります。設計した化合物だったり材料だったりプロセスだったりが、企業や研究室でかかえている問題を解決すればよいのですが、問題解決に結びつかない可能性もあります。設計したはいいものの、使い物にならないというわけです。
なので、たとえば共同研究の検討をするときには、設計のテーマであったとしても、それがどのような問題を解決する手段なのかまで、共同研究する前に議論します。そうすることで、たとえばモデルの作り方を工夫することになったり、設計変数の範囲を変えることになったり、設計変数を増やすことや逆に減らすことになったり、目的の変数 (目的関数) を変えたりすることもあります。話し合いの中で、実は設計問題 (とかデータ解析・機械学習) ではなく、別の問題が律速になっていることがわかったりもします。
金子研の研究テーマも同じでして、基本的にはどれも設計に関係する研究テーマですが、設計自体が目的ではなく、何かしらの問題解決が目的になっております。
設計の本質は問題解決です。その問題解決のためにどんな設計をやる必要があるか、を真剣に考えております。
以上です。
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