複数のモノマーの混合効果を考慮した機械学習モデルを用いて、CO2分離膜用ポリイミドの合成前に溶解性と重合性を高精度に予測し、実験でもその有効性を実証しました!![日東電工&金子研の共同研究論文]

日東電工と金子研における共同研究の成果の論文が molecular informatics に掲載されましたので、ご紹介します。タイトルは

 

Machine Learning Models Predicting Solubility and Polymerizability of Polyimides Considering Multiple Monomers for CO2 Separation Membranes

 

です。これは共同研究として日東電工の方々と一緒に研究した成果であり、修士卒の紫野優人さんが取り組んだ研究の成果です。

本研究では、二酸化炭素分離膜などに用いられるポリイミド材料の開発を効率化するために、合成前の段階で材料の溶解性と重合性を予測する機械学習モデルを開発しました。

ガス分離技術はエネルギー効率の高さから注目を集めており、中でもポリイミドは有望な分離膜材料としてさらなる高性能化が求められています。しかし、新規材料を探索する際、ガス分離性能だけでなく、合成過程における溶媒への溶解性や重合性も重要な要素となります。もし溶解性や重合性が低いと、膜の作製自体が困難になり、分離性能の評価すら行えないため、研究リソースや多大な労力の無駄につながるという課題がありました。

そこで本研究では、この課題を解決するために、複数のモノマー(ジカルボン酸無水物とジアミン)を組み合わせた際の複雑な混合効果を考慮したクラス分類モデルを機械学習により構築しました。具体的には、各モノマーの化学構造から得られる分子記述子と、それぞれの混合比率を用いて、加重平均や加重分散、各種プーリングといった多様な計算方法による混合物の特徴量を算出しました。さらに、算出された膨大な特徴量の中から予測に本当に必要な情報だけを抽出するため、Borutaを用いて特徴量選択を行いました。

予測モデルの構築では、様々な機械学習アルゴリズムを比較検討しました。その結果、溶解性の予測においては非線形サポートベクターマシンを用いたモデルが極めて高い分類精度(約93%)を達成し、重合性の予測においても高い精度とバランスを示すモデルの構築に成功しました。また、Borutaによる特徴量選択を行うことでノイズが排除され、モデル全体の予測精度向上が大きくもたらされていることも確認されました。

さらに、構築したモデルの実用性を検証するため、未知の新規候補材料について溶解性と重合性の予測を行い、実際に合成実験を行って結果を比較検証しました。その結果、溶解性の予測は7件中5件、重合性の予測は3件中2件で実験結果と一致し、実践的な環境でも提案モデルが有効に機能することが実証されました。一部、多数のフッ素置換基やカルド構造を持つ複雑な分子構造においては予測のズレが見られたものの、多様な学習データの拡充によって今後の改善が可能であると考察されています。

結論として、本研究で開発された機械学習モデルを活用することで、実際に合成実験を行う前に材料の溶解性や重合性を高い精度で予測できるようになります。これにより、不必要な実験を削減し、開発にかかる時間やコストを大幅に抑えながら、望ましい特性を持つ分離膜材料の効率的な開発を推進できると期待されます。

興味のある方は、ぜひ論文をご覧いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

以上です。

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